東京バレエ団・ウラジーミル・マラーホフ振付『眠れる森の美女』

平成20年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動重点支援事業)
2009 都民芸術フェスティバル助成公演
チャイコフスキー記念東京バレエ団『眠れる森の美女』
演出・振付:ウラジーミル・マラーホフマリウス・プティパ
オーロラ姫:ディアナ・ヴィシニョーワ
デジレ王子:ウラジーミル・マラーホフ
リラの精:上野水香
カラボス:高岸直樹
指揮:デヴィッド・ガーフォース
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
(2009年1月8日 東京文化会館)

2006年に初演されたマラーホフ版「眠り」が再演された。全編まさに“薔薇づくし”。薔薇が咲き誇る城の中庭ですべてが展開され、オーロラも紡ぎ糸でなく薔薇の棘に刺さって命を落としそうになる。プロローグと1幕の間を「パノラマ」の曲でつなぎオーロラの成長をみせ2幕幻影の場は短め。スピーディーな展開による現代的なファンタジーとして優れている。東京バレエ団初演時は吉岡美佳とマラーホフ主演だったが今回はヴィシニョーワとマラーホフ。お互いが触れ合わない場でも互いが空気を共有しているかのような親密なパートナーシップを堪能できた。リラの精の上野水香も適役で堂々とした存在感。ソリストではカナリアの精を伸びやかなラインと抜群の安定感で踊りこなした佐伯知香がすばらしい。このところの活躍ぶりは目覚しく(『ジゼル』のペザントや『ザ・カブキ』のお軽など)、どんな小さな役でもキラリと光るものをみせている。主役デビュー前の小出領子を思い出す。そろそろ次の段階、主役級を踊ってもいいのでは・・・。