埼玉県舞踊協会「2009 バレエ&モダンダンス 早春コンサート」

埼玉県舞踊協会「2009 バレエ&モダンダンス 早春コンサート」
第1部:自由作品
●由井カナコ『パ・ド・サンク』
●新野正代『安宅関』
●野呂修平『Colour Variation』

第2部:埼玉県舞踊協会委嘱作品
●堀登『5 VS 5』
第3部:「DNA さいたま動物の謝肉祭」
●文月玲『カマキリ』
●山口弓貴子『飛べない鳥』
●青木りえ『月落ちて、楽園は漆黒の闇となり』
●山崎麻矢『家猫狂騒曲』
原島マヤ『変化』
●田中ひとみ『宇宙カメ参上!』
●谷乃梨絵『クローン計画の誤算』
●吉田久木子 作・関口淳子 振付『人』

(2009年2月1日 埼玉会館大ホール)

協会の設立・発展に多大な貢献を果たした名誉会長の藤井公を昨年末に喪った埼玉県舞踊協会であるが、会員およびゲスト振付家を招いての公演を滞りなく行った。第1部では協会員の大ベテランたちが登場。由井、野呂作品は早春にふさわしい明るく華やかな踊りを散りばめ、新野作品は和のテイストも入れた洋舞版「勧進帳」の趣だ。第2部では堀の代表作を再演した。かって音楽新聞のベスト3に入ったものであり、そうした話題作で時代を経ても古びないものであれば再演すべきだろう。第3部は「動物の謝肉祭」と銘打って8組が毛色の違う創作を披露して観るものを楽しませていた。

ユニット・キミホVol.2『White Fields』

芸術文化振興基金助成事業
ユニット・キミホvol.2『White Fields』
振付・演出:キミホ・ハルバート
出演:菊池いつか、作間草、西田佑子、森田真希、矢島みなみ、石橋和也、大貫勇輔、芝崎健太、平原慎太郎、キミホ・ハルバート
(2009年2月1日 青山円形劇場)

若手バレエ系振付家トップランナーのひとりキミホ・ハルバートの主宰するユニット第2回公演。前回は旧作再演+新作による小品集だったが今回は2部構成の大作だ。“人をテーマとして、人に対する思いやり、自然に対する思いやりをコンセプトに”創作したという。衣装や舞台装置も白、銀世界のなかで展開されるパフォーマンス。群舞やデュオを織り交ぜ情景を連ねていくが、緩と急、動と静を効果的に用い長時間を飽かせない。ペルトやJ.S.バッハによる聞き慣れた曲を用いているけれども、音楽の情緒に安易に依存することもない。女性陣はクラシックバレエを長年踊っているメンバーが多いが、男性はコンテやストリート系の舞台を踏んできた人が多く、振付もオーソドックスなバレエのパを崩したコンテンポラリーなもの中心。スタイリッシュでセンスの良い作風はバレエファンのみならずコンテンポラリー・ダンスの観客にも訴求するだろう。