日本芸術文化振興会平成22年度助成対象活動決定

平成22年度芸術創造活動特別推進事業助成対象活動および芸術文化振興基金助成対象活動が3月26日付けで公表資料として発表されました。
舞踊では、芸術創造活動特別推進事業助成対象活動が応募件数67件のうち56件が採択され、芸術文化振興基金助成対象活動が158件の応募のうち51件が採択されています。他にも芸術文化振興基金において多分野共同等芸術創造活動のなかで舞踊関連が数件採択されています。昨年末に文化予算自体は0・5%UPしたという報道がありましたが、公表データを見る限り、舞台芸術予算自体は多少ですが減少気味のようです。とはいえ、昨秋の「事業仕分け」に揺れた頃を思い返せば、こうやって予算が出るという事実に、なにはともあれ安心・安堵を覚えた関係者も少なくないのでは。
平成22年度 芸術文化振興基金助成対象活動
http://www.ntj.jac.go.jp/kikin/joho/h22/katudou2010.html
平成22年度 芸術創造活動特別推進事業助成対象活動
http://www.ntj.jac.go.jp/suishin/joho/h22/katudou2010.html
今回のネットでの公表は画期的です。理由のまず第一は迅速さ。というのも芸術文化振興基金助成対象活動の決定については例年4月ごろに日本芸術文化振興会のHP上にアップされていたものの昨年まで文化庁資料発表となっていた芸術創造活動特別推進事業に関しては6月頃に公表されるなど情報公開の遅さが気になるところでした。それが、応募団体への通知とさほど間をおかないと思われるタイミングで公表されるとは・・・。第二に芸術創造活動特別推進事業の採択公演に関して助成予定額がはじめて公開されたこと。芸術文化振興基金助成対象活動に関しては例年、助成予定額が公表されていましたが、芸術創造活動特別推進事業に関しては一般的にはどういう予算配分がなされているのかまったく不明でした。それがちゃんと出たのは、遅きに失した感はありますが、情報公開の公明性という点で非常に望ましいでしょう。
助成内容の内訳をみましょう。芸術創造活動特別推進事業助成対象活動では、首都圏のバレエでは新国立劇場とテレビ局がスポンサーにつくKバレエカンパニー、行政との芸術提携を結んでいる東京シティ・バレエ団(芸術文化振興基金で2件採択)を除く大手および有力カンパニーが例年同様採択されています。最多採択&最多受給団体は6件採択の財団法人 日本舞台芸術振興会(東京バレエ団公演)。それに財団法人 松山バレエ団(松山バレエ団)、財団法人 橘秋子記念財団(牧阿佐美バレヱ団)と大手が続きます。他にも3、4件採択団体が複数。各地の状況をみると、関西では、大阪の法村友井バレエ団、神戸の貞松・浜田バレエ団が例年通り複数公演採択を受けています。名古屋では芸術文化振興基金舞台芸術振興事業を受けてはいたものの老舗大手の松岡伶子バレエ団が初めて同事業の採択となりました。コンテンポラリー等では大橋可也&ダンサーズ、Dance Theatre Ludens、フラメンコでは鍵田真由美・佐藤浩希、石井智子の気鋭の躍進が目につきます。芸術文化振興基金は大激戦だったと思われますが、若手のKENTARO!や平原慎太郎らのC/ompanyが初採択。話題性抜群の彼らも3年くらいは活動を続けて実績を積んできたことが証明された形でしょう。
来年の3月末までに行われる公演予定のうち不明だったもの、一般的には内容が公表されていなかったものが明らかになるのも楽しみ。東京バレエ団の〈エロス・タナトス〉(仮題)やNBAバレエ団の『ナポリ』全幕(日本のバレエ団による全幕初演では?〉等は話題になりそう。東京シティ・バレエ団の「シティ・バレエ・サロンvol.1」という企画も気にかかります。創作ものという点では、貞松・浜田バレエ団の「創作リサイタル22」において、同バレエ団出身で欧州で活躍する振付家・森優貴が挑む大曲『冬の旅』の上演が注目されるところ。芸術創造活動特別推進事業助成対象活動に採択された「ローザンヌ・ガラ2010」も熊川哲也が芸術監督を務めるようですが、予算も付き、手ごたえのあるものになるのでは。コンテンポラリーの大御所・黒沢美香はダンサーズ公演のほかソロ「薔薇の人」公演も採択され、精力的な活動に目を瞠らされます。