2008年1〜3月のベスト5+1

・ダンスカンパニーカレイドスコープ『Cache-Cache』1月11日 全労済ホール/スペースゼロ
首藤康之×小野寺修二『空白に落ちた男』1月14日 ベニサン・ピット
・Kバレエカンパニー『ベートーヴェン 第九』3月15日 赤坂ACTシアター
・Rossewaltz『PICNIC』3月18日 めぐろパーシモンホール
東京バレエ団 ジョン・ノイマイヤー振付『時節の色』3月22日 ゆうぽうとホール
・アンサンブル・ゾネ『Falken Schrei- 鷹の声』3月30日 シアターχ

モダン=コンテンポラリーに手ごたえある作品が並んだ。ダンスカンパニーカレイドスコープ『Cache-Cache』は二見一幸の卓抜な作舞術とカンパニーの錬度の高さに魅了された。まさに絶頂期を迎えている。Rossewaltz『PICNIC』も内田香ならではのクールでカッコいい路線であるが明るく楽しい作風に好感を持った。所夏海、Emilyら活きのいい女性陣に加え鈴木陽平ら曲者揃いの男性陣もいい。アンサンブル・ゾネ『Falken Schrei- 鷹の声』は岡登志子独自の淡々としかし緊密感のある創作に魅了された。音楽の高瀬アキとのコラボレーションも今後に期待を抱かせる。伊藤愛ほかダンサーもいい。首藤康之×小野寺修二『空白に落ちた男』は「水と油」の不思議ワールドに首藤が絶妙に溶けこんでいた。今年のベストに推す人も少なからず出てくるだろう。Kバレエカンパニー『ベートーヴェン 第九』も見応えがあった。ベジャールや佐多達枝に先行作あるが曲調に負けないテーマの壮大さはよく、音楽をしっかり捉える熊川の作家としての力量も非凡だと思う。東京バレエ団『時節の色』は同作と相通じる要素を持つハンブルク・バレエ『冬の旅』を見た後に再見すると、9・11を挟んで創作された両作品を通じてノイマイヤーの、混迷する世界への深い絶望を改めて感じ心胆を寒からしめるに十分だった。