日本バレエ協会「J.B.A ヤング・バレエ・フェスティバル」

平成20年度文化庁芸術団体人材育成支援事業
日本バレエ協会 第20回「J.B.A ヤング・バレエ・フェスティバル」

●『海賊』より「夢の花園」
原振付:M.プティパ 音楽:A.アダン
再振付:岡本佳津子 バレエ・ミストレス:前田新奈  
監修:小川亜矢子
●『エニワン・エルス・バット・ユー』
振付:石井竜一
ダンスアドバイザー:柳瀬真澄
●『卒業舞踏会』
原振付:D.リシーン 再振付:D.ロング    
指導:早川恵美子 バレエ・ミストレス:竹内祥世  
監修:橋浦勇
指揮:福田一雄 演奏:東京ニューフィルハーモニック管弦楽団
(2009年1月30日 ゆうぽうとホール)

『海賊』より「夢の花園」は2幕のパ・ド・トロワを組み入れ構成したもの。小気味よく超絶技巧をこなした田中りな(メドーラ)、安定感のある中村誠(コンラッド)、端正で完成度の高い技量をみせた碓氷悠太(アリ)が好演していた。ガーランドダンスの群舞も華やか。石井作品は島田衣子、武石光嗣、後藤和雄の中堅どころにベテラン尾本を配し、そこに若い踊り手が絡む。バリー・ルイ・ポリサー他フォークテイストな曲を用いて人物間の機微を描き、石井のセンシティブな感性が感じられた(プログラムの石井の言や使用された曲等から察するにおそらく2007年のアメリカ映画「JUNO/ジュノ」からインスピレーションを受けて創作されたと思われる)。『卒業舞踏会』は女学校の女生徒たちと士官学校の生徒たちの舞踏会の模様を描いた古きよき時代の佳編。老将軍と女学校長との老いらくの恋も微笑ましい。ベテランの堀登、坂本登喜彦を配しつつ若い踊り手からのびやかな演技を引き出していた。古典、創作、近代バレエをバランスよく配し、上り調子の若手たちが大舞台を通して飛躍していく絶好の場となっていた。