「あいちトリエンナーレ2010」で上演される演劇・ダンス

3年ごとに開催される国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」。芸術監督・建畠哲(国立国際美術館館長)のもと、2010年の初回開催に向けて準備が進んでいるようです。
会期は2010年8月21日〜10月31日までの72日間。愛知芸術文化センター名古屋市美術館はじめ名古屋市内各所で行われます。テーマは“都市の祝祭 Arts and Cities”。現代美術作品の展示や舞台芸術の公演によって最先端のアートシーンを紹介、わくわくするような高揚感ある雰囲気を演出するというのがコンセプトのようです。
舞台芸術部門における公演予定団体としてはチェルフィッチュニブロールヤン・ファーブルローザスが予定されています(順次追加予定)。
チェルフィッチュは、独特の台詞回しとそれに伴う一風変わった、それでいて妙にリアルに感じられる身体表現によって注目を集める団体。主宰は劇作家・演出家・小説家として活動する岡田利規です。チェルフィッチュと美術いえば、2006年京都芸術センターにて行われた「Freeing the Mind、抽象再訪」と題された展覧会において美術家・小山田徹による展示の上で『体に関係ない時間』を上演したのが印象に残ります。
ニブロール振付家矢内原美邦を中心とした音楽・映像・衣装等のアーティストたちが集うディレクター・システムを採用しているカンパニー。身体表現軸に複合的な表現によって「いま」を鋭く問いかけるエッジーな作風が刺激的です。愛知には今年3月上演された『no direction。』に続く登場となるようです。
ヤン・ファーブルローザスはベルギー・コンテンポラリー・ダンスのリーダー的存在ですが、ファーブルは現代美術家としても著名で作品集も出ています。ローザスもダンスの舞台だけでなくダンスビデオの世界で革命をもたらした存在として知られ、大きなアートショップに足を運べば彼らのビデオダンスが置かれています。
コンテンポラリー・ダンスといえば難解でとっつきにくいという偏見はまだまだあるかと思います。観客層をひろげるため、また、表現の多様化を望むうえでも隣接畑の美術や演劇シーンとの交流はいま以上に行われていい。とはいえ、仮に美術とのコラボレーションを発表するのであれば、異分野共同制作という企画性だけで評価される時期はとうに過ぎ去り、質が厳しく問われる時代。「あいちトリエンナーレ」における舞台芸術上演についてもその点をしっかり見据えた企画・上演が望まれます。

「あいちトリエンナーレ2010」公式HP↓
http://www.aichitriennale.jp/