新旧異色の映画「くるみ割り人形」について

師走の風物詩『くるみ割り人形』の季節。北米ではチャイコフスキーの「くるみ割り人形」にもとづいたファンタジー映画が公開されている。「The Nutcracker in 3D」だ。
公式WEBサイト
http://www.nutcrackerin3d.com/
The Nutcracker in 3D Trailer

叔父からくるみ割り人形をプレゼントされた9歳の少女メアリーが、クリスマスの夜、人形によって妖精の国へと連れ出され、魔法の呪いを解くという冒険物語のようだ。監督はナスターシャ・キンスキー主演「マリアの恋人」や黒澤明脚本が出発点の「暴走機関車」等で著名なロシア出身アンドレイ・コンチャロフスキー。出演はエル・ファニング、ネイサン・レーン、ジョン・タトゥーロ、フランセス・デラトゥール、ダニエル・ピーコックら。
11月末に全米公開された際、批評家/ジャーナリストから全く相手にされず酷評だらけのうえ興行的にも惨敗を喫した。物語も映像も凡庸の一言に尽きるようだ。「黒い瞳」「ウルガ」等で知られるニキータ・ミハルコフの兄でもあるベテランのコンチャロフスキーにとってはキャリアの終焉を意味するに等しいか?「ドア・イン・ザ・フロア」などの演技で姉のダコタ以上の天才子役とも評されつつあるエル・ファニングにとっても残念な結果になったといえる。とはいえ、バレエ・ファンとしては興味そそられるところ。



くるみ割り人形」の異色映画化といえば、わが国でもサンリオ製作の人形アニメーション映画(1979年)が知られよう。ホフマン原作「くるみ割り人形とねずみの王様」とチャイコフスキーの『くるみ割り人形』を辻信太郎が脚色したものだ。
サンリオ映画「くるみ割り人形」予告編 Nutcracker Fantasy Trailer (1979)

作・編曲に羽田健太郎、作詞に寺山修司が連ねるという顔ぶれも異色だが、バレエ界からは、森下洋子&清水哲太郎が出演している。長年にわたって日本のバレエを牽引し、いまなお踊っている黄金ペアの映像の記録としても貴重である。


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