日本人バレエダンサー達による復興支援チャリティー「オールニッポンバレエガラコンサート2011」製作発表

東日本大震災に際し、所属を超えた日本人バレエダンサーが内外から集う震災復興支援チャリティー公演「オール二ッポンバレエガラコンサート2011」が8月15日(月)18:00東京・メルパルクホールで開催される。
「オール二ッポンバレエガラコンサート2011」公式ホームページ
「バレエダンサーとして何か出来ないか」と考えたダンサーたちが結集し“バレエの舞台という場でみんなの心が一つになる力を発信”(公式HPより)することで震災への支援とする企画だ。バレエダンサーで構成される実行委員が主催者となり、出演ダンサーと事務局で構成されるダンサーが主役のボランティア団体が運営する。総勢約40名の一線級の踊り手が集うビッグイベントとなる。実行委員は、遠藤康行、西島千博、酒井はな、島地保武、山本隆之、森田健太郎、伊藤範子、志賀育恵、中村恩恵(順不同)。
6月8日、都内で公演へ向けての製作発表が行われた。
会見には、司会進行を務めた西島千博はじめ青木尚哉、荒井英之、伊藤範子、金田あゆ子、酒井はな、佐藤美紀、志賀育恵、橘るみ、永橋あゆみ、春野雅彦、キミホ・ハルバート、松崎えり、増田真也、三木雄馬の15名が登場(順不同)。おのおのが震災そして今回のガラへの思いを語った。西島は「言葉ではないメッセージをもってして、生きるエネルギーをどのように身体で伝えるか」と強い決意を表明。ベテランの伊藤は「所属を超えたダンサーが一堂に会する機会がなくなっているなかバレエ界がひとつになる」得難い機会だと述べていた。気鋭の振付家でもあるキミホは、震災に際し「ひとりでは何もできない、人と人のつながりを感じた」と語り、希望をテーマに新作を発表する。わが国を代表するプリマ酒井はなんと『瀕死の白鳥』を披露。「再生という意味を込めて踊る」との決意を明らかにした。
現時点で上演作品は20本ほど。クラシック/創作が半々程度になるようだ。会見で判明したラインナップ(予定)の一部を。東京シティ・バレエ団の志賀と春野雅彦は『くるみ割り人形』(石井清子版)のクララとくるみ割り王子のパ・ド・ドゥを、谷桃子バレエ団の永橋あゆみと三木は、『ジゼル』よりのパ・ド・ドゥを踊り、伊藤は、東京シティ・バレエ団の小林洋壱とともに日原永美子振付『タンゴジブル』のなかから「ブエノスアイレスの冬」を踊る。西島は、『ボレロ』を披露する予定。カード会社のCMに出るなど注目される若手・荒井英之は、『ダイアナとアクティオン』を踊るという。また、ラストには、12人のダンサーが踊る遠藤康行作品が上演され、平山素子や柳本雅寛、佐藤らコンテンポラリー系の踊り手が共演するという。全員によるグランドフィナーレも予定されているようだ。ちなみに今回の企画は、フランス・マルセイユバレエ所属の遠藤が西島に相談したことからはじまったものだという。
チャリティで得た入場料、物販収入、協賛金など運営費を除くすべての収益金は、公演終了後に実行委員で組織する収益分配委員会で寄付する先を決定する。被災地域のバレエ界に役に立つ寄付ということで、東北地方の関係者等への相談も行い慎重に審議していくようだ。物質的な支援や言葉でメッセージを発することも大切だが、それにもまして、ダンサーは踊ることによって自らを表現し、メッセージを伝えるのが本分であろう。その気概は会見出席者の言葉の端々から強く伝わってきた。会場で生の舞台を観られる観客は限られるが、今回はUSTREAMによる生中継も予定というのがうれしい。40名もの一線の踊り手の“思い”が広く深く届き、少しでも希望の持てる日本になっていく一助となることを期待したい。