首藤康之「今日と明日の間で」間もなく公開!

このところ首藤康之の活躍には瞠目させられる。2007年には奇才シディ・ラルビ・シェルカウイ振付『アポクリフ』に出演し欧州のダンスフェスティバル等に参加。一昨年には同作の来日公演も行われ話題となった。昨年は盟友的存在の中村恩恵新国立劇場にて『Shakespeare THE SONNETS』を創作したほか初のセルフプロデュース公演「DEDICATED」を催し成功を収める。この3月にも英国ロイヤル・バレエ出身のウィル・タケットと組み、日英のバレエダンサーを中心に創作する新作『鶴』に参加する。 マルチプルに活躍し、つねに新しい表現を追求している刺激的な存在といえる。
そんな首藤が舞台に向き合う姿を追ったドキュメンタリー映画「今日と明日の間に」(第24回東京国際映画祭 日本映画・ある視点部門正式出品作品)。1月7日から東京都写真美術館、銀座テアトルシネマほか全国ロードショー公開される。映画やダンスの各種メディアで話題になっていることもあり、ご存知の方も少なくないだろう。
これは2010年に行われた『時の庭』『空白に落ちた男』『アポクリフ』に挑む首藤を追ったもの。舞台や楽屋裏での模様、自身のスタジオでひとりレッスンに励んだり、郷里の大分のバレスタジオで指導に当たる様子が収められている。いまは亡きベジャールが直々に首藤を指導する貴重な映像も。中村恩恵、小野寺修二、シェルカウイ、斎藤友佳理という共演者が彼について語ったインタビューも織り込まれている。
首藤に対してストイックに自身のダンスを追い求める孤高のアーティストといった印象を抱く。柔軟な姿勢を持ち、何色にも染まらないようなしなやかな感性の持ち主に思える。しかし、この映画のなかで首藤は「(自分は)不器用で、つねにひとつのことしか考えられない」といったようなことを語る。斎藤や小野寺も同様のことを述べる。器用ではないけれども、いや、器用ではないからこそ自分の感覚を大切にし、時間をかけて物事一つひとつと誠実に向き合う。首藤の真摯でまっすぐな生き方が浮びあがってくる。
冒頭と最後には椎名林檎の書き下ろし曲「Between Today and Tomorrow」にのせ首藤が踊る(振付:中村恩恵)。首藤にとってダンス=生きること。踊ることによって明日を模索している。それを雄弁に物語る繊細で力強く美しい踊りが目に焼き付き離れない。
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http://www.ballet-factory.com/ballet-hyakka/gotheater/balletanddance/t-018.html

「今日と明日の間で」予告編


SHUTO ダンサー首藤康之の世界

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prints (プリンツ) 21 2006年冬号 特集・首藤康之[雑誌]

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Ballet Work 首藤康之の美しくなるバレエ [DVD]

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