地域からの発信の時代へ〜アジアへ、世界へ

コンテンポラリー・ダンスにおいてコンペからフェスティバルへ、そして各地から世界ことにアジアへという流れが加速しています。乗越たかお氏らが指摘してきましたがこのところのイベントからしてそれが顕著に。世界各国からのディレクターが集い海外参加アーティストも増えた「横浜ダンスコレクションR」(コンペ部門もありますが)、福岡で行われる西日本中心とした各地のアーティストと韓国の最新ダンスを上演する「福岡ダンスフリンジフェスティバル」が2月上旬、同時期に行われます。神戸ではDANCE BOXほかが主催する「KOBE-Asia Contemporary dance Festival #01」が1月末まで開催中。各地のスペース間やアジアのアーティストと連携を深めるJCDNのほか愛知芸術文化センター山口情報芸術センターといった公共施設も活発に活動しています。東京に偏ってきた日本のダンス・シーン&マーケットが変わりつつあるのが実感できます。
無論、アジアや世界に目を向けた発信には地域での文化活動の促進が不可欠。「事業仕分け」によって文化予算の削減が取りざたされていますが、文化庁関連の各種助成も地域文化の振興・発展に寄与しています。各地のホール等で上演される良質のプログラムに「地域文化芸術振興プラン」が採択されたり、青少年はじめとした観客にアートの魅力を伝える「舞台芸術の魅力発見事業」は定着しつつあります。民間財団も地方自治体による公的助成も。赤字補填であったり様々の制約あったりとすべてが理想的ではない面はあるにせよ一定の機能は果たしているのではないでしょうか。
とはいえ、そういった活動や助成が地域からのアーティストが生まれ、観客も育てることにどれだけ貢献したかを単純に数値化はできません。即効性のあるものでもありません。まだ途上、はじまったばかり。ゆっくりと見守っていきたいところです。いずれにせよ、今後、地域からの発信がより大きなポイントとなるのは間違いないでしょう。