2007-01-01から1年間の記事一覧

年末回顧の時節

各紙誌に回顧記事やベスト公演&ダンサーアンケートが載る時期となった。「読売新聞」や「音楽舞踊新聞」には記者や批評家の記事がのっている。私は「オン・ステージ新聞」(12/25発売)、「ダンスマガジン」(12/27発売)にそれぞれベスト公演等を回答。 今年の…

アグン・グナワン&鈴木一琥、未國、白井剛×川口隆夫×藤本隆行、MOKK LABO

全国各地で年末の風物詩『くるみ割り人形』が上演される。これまでも多摩シティ・バレエ団、牧阿佐美バレヱ団、井上バレエ団などの舞台を観たが、それぞれ趣向を凝らした演出を見比べるのは一興、ソリストや群舞のなかに若い逸材を見つけた際の喜びは何物に…

「シルヴィ・ギエム、進化する伝説」

抜群の人気と実力を誇る世紀の舞姫シルヴィ・ギエムが2年ぶりに来日、東京バレエ団と共演した。題して「シルヴィ・ギエム、進化する伝説」。東京公演はA・Bふたつのプログラムが組まれたが、ギエムの現在を余すことなく示した刺激的な舞台だった。 近年、古…

総合芸術としてのフラメンコ〜小島章司フラメンコ2007、蘭このみスペイン舞踊公演

銀座1丁目はル テアトル銀座において立て続けにフラメンコ公演を観る機会に恵まれた。小島章司フラメンコ2007「戦火の詩人たち」(11月30日所見)と蘭このみスペイン舞踊公演「花がたみ」(11月27日所見)である。 小島は今年で舞踊生活50年。クラシック、モダン…

「踊りに行くぜ!!」vol.8 in 静岡

JCDN主催「踊りに行くぜ!!」は今年で8回目、全国24都市で41作品が上演されている。そのうち静岡公演を観ることができた。静岡では2005年からストリートフェスティバル・イン・シズオカ実行委員会が音頭を取り「踊りに行くぜ!!」を開催。街全体、ストリートか…

Roussewaltz『Bon appetit! -deluxe-』

内田香率いるRoussewaltzは、自主公演のほか合同公演や新国立劇場コンテンポラリーダンス等への出展を通し活躍している。この度、六本木のディープスポットであるクラブSuperDeluxeにおいて女性メンバーによるショーケースを行った。 三方を客席に囲まれたス…

ふたつの『白鳥の湖』に想う

先週末、東京・渋谷でふたつの『白鳥の湖』が上演されていた。ひとつは東京小牧バレエ団公演、もうひとつは熊川哲也Kバレエカンパニーのウィンターツアーである。 小牧の公演は昨年九月に逝去した小牧正英の追悼。上海バレエ・リュスの一員として活躍した小…

加藤みや子、BABY-Q、インバル・ピント

芸術の秋、ダンスの秋であるが今月は連日公演が目白押し。11月上旬、ことに9-11日の週末はダンスの舞台が重なり、必要あって観るもの優先したため見落としたものや遠方まで観にいったものもあった。観ることのできたもののうちからいくつの雑感を。 加藤みや…

若い才能に対する責任

熱心なシアターゴーアーにとって新たな才能を誰よりも早く発見したいと思うのはごく自然な欲求だろう。小劇場演劇のファンのなかには玉石混淆のなかからいち早く逸材を見つける強者が少なからずいる。私も以前は演劇マニアだったので、いま小劇場シーンで話…

物語バレエ創作について

“人は物語なしには生きられない”そう語ったのは『La Bell〜美女』『夢〜Le Songe』などで知られる奇才ジャン=クリストフ・マイヨーである。21世紀の現在、優れた物語バレエが払底している。古典全幕には限りがあるし、コンテンポラリー作品では観衆を集めに…

身を乗り出すな

普通、劇場の座席というものは、腰を深く、背もたれに背を落ち着けて座らないと後ろの人が見えないように作られている(元々段差等がなく見え難い小屋はあるが)。しかし、身を乗り出して観劇、後ろの人に迷惑をかける人が後を絶たない。少しばかり身を乗り出…

最近書いた記事の補遺

最近書いた記事についての補遺、フォロー。 Noism 先日のNoism公演で配布されていたフリーペーパーが好評のようだ。 新シーズンから加わった人も含めたメンバーの紹介や、創設当初からの年表形式で綴るカンパニーの軌跡、発売中のDVDの紹介などカラー写真入…

ベルリン国立歌劇場『モーゼとアロン』

旧約聖書に登場するモーゼとアロンの物語に材を得たシェーンベルク未完のオペラ『モーゼとアロン』は、演奏の難しいこともあってか上演されることはごく稀である。日本での舞台上演は今回のベルリン国立歌劇場公演で2回目、なんと37年ぶり。 ベルリンでの初…

金魚『沈黙とはかりあえるほどに』

金魚率いる鈴木ユキオは、舞踏を出自とするがオルタナティブな可能性を追究してきた注目の作家。以前は演劇的要素も取りいれるなど模索を繰返してきたが、昨年の『犬の静脈に嫉妬せず』は、自身の原点である舞踏を乗り越えようとする意思がにじむ舞台だった…

Noism07「W-view」

Noism4年目のシーズン開幕は、外部振付家招聘企画の第3弾。元ネザーランド・ダンス・シアターの中村恩恵、現フォーサイス・カンパニーの安藤洋子を招いての公演である。プログラムに載せられた芸術監督・金森穣の言葉によると、公演名にはいくつもの意味が…

アキコ・カンダ作品選〜夢、紡いで〜

アキコ・カンダの舞台といえば、『バルバラを踊る』シリーズや新国立劇場に委嘱された『マーサへ 空のなか 愛がふれあう時』などを思い浮かべることができる。一途なまでにストイックな世界。1950年代にマーサ・グレアムに学び、帰国後も精力的に創作を続け…

貞松・浜田バレエ団『白鳥の湖』

昨年は『白鳥の湖』日本初演から60年を迎えたが、今年はライジンガー版による世界初演から130年目にあたる。関西の代表的バレエ団のひとつ貞松・浜田バレエ団ではそれを記念しての公演を行った。同団では1966年にバレエ団初演して以来『白鳥の湖』の上演を重…

東野祥子ソロダンス+ミュージシャンズ 『E/G - EGO GEOMETRIA』

東野祥子はダンサーとして卓越した存在であるだけでなく、主宰するBABY-Qの舞台では、美術や衣装、音楽など含めトータルな視点で自身のヴィジョンが徹底されており作家としての評価も高い(そのグロテスクで危険な香りのする世界観は好みが分かれるだろうが)…

映画『追悼のざわめき』

伝説のカルトムービーが還ってきた!! 1988年5月公開の松井良彦監督作品『追悼のざわめき』は賛否両論を巻起こした。舞台は大阪のドヤ街。若い女性の惨殺事件が続発する。 被害者たちは下腹部を切り裂かれ、生殖器が持ち去られていた。 犯人は青年・誠…

P’Lushダンスパフォーマンス『Scratch』

元気のいい3人娘(玉内集子、藤本理子、玉内類子)によるダンスパフォーマンス。4月の初単独公演ではミスチルの「フェイク」にあわせた群舞が躍動感に溢れ小気味いい後味を残したが、今回は趣を変えた。冒頭からしばらくはハンモックのように吊るされた布のな…

白井剛×川口隆夫×藤本隆行『true/本当のこと』

振付・出演:白井剛(AbsT/発条ト)、振付・テクスト・出演:川口隆夫(Dumb Type)、ディレクション・照明:藤本隆行(Dumb Type)による『true/本当のこと』が山口情報芸術センター(YCAM)にて初演された。最新鋭のメディアテクノロジーとダンスがスリリングに拮…

来年の来日公演ラインナップ

夏の来日公演ラッシュは一息ついたが、早くも来年のラインナップが話題になりつつある。現在、公表されている主なものだけでも下記の通り。例年の如くなかなか凄いことになっている。舞踊愛好家にとっては嬉しい悲鳴としか言い様が無いが国内の団体にも頑張…

創作作品の再演について

先日鑑賞したダンスカンパニーカレイドスコープ「The World of Kaléidoscope vol.2」(8/25-27 スパイラルホール)では『Moment, Once, Certain』『Figure Edit』という作品ともに再演であった。このカンパニーは今年2月に主宰・振付家の二見一幸の新作3本立公…

海外で踊ること、国内で踊ること〜「ローザンヌ・ガラ2007」など

毎年夏になると、海外のカンパニーで活躍するダンサーが帰国、各地の公演・発表会で活躍している。それらの公演をみるたび、日本という国は優れたダンサーを輩出しているという点では世界でもトップレベルだと痛感させられる。 先日行われた高円宮憲仁親王殿…

赤江瀑と歌舞伎、そしてバレエ

赤江瀑の「平成」歌舞伎入門 (学研新書)作者: 赤江瀑出版社/メーカー: 学習研究社発売日: 2007/07メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見るまさに待望の書が出た。『赤江瀑の「平成」歌舞伎入門』である。単なる演目の紹介や見巧者…

盛況の来日公演

夏の東京は例年のごとく大型公演が目白押し。3年に一度のお楽しみ「世界バレエフェスティバル」はお休みだが来日公演が続く。7月にオーストラリア・バレエ団がグレアム・マーフィー版『白鳥の湖』、スタントン・ウェルチ版『眠れる森の美女』という異色作を…

Sym's BALLET「ロミオ&ジュリエット」

東京シティ・バレエ団の志賀育恵には以前から注目しており専門誌紙に何度も評を書く機会にも恵まれた。柔らかな身体のラインを生かした踊りはいつみても小気味いい。ここ数年はバレエ団のプリマとしての地位を確固たるものとし、昨年は『カルメン』『白鳥の…

清里フィールドバレエ『かぐや姫-LUNA』

山梨県・清里で行われる「清里フィールドバレエ」を観にいった(以前にも行ったことはある)。バレエシャンブルウエストと萌木の村の主催によるこの催しは今年で18回目。国内では唯一の長期野外バレエとして知られる。清里の夏の風物詩としてのみならず全国的…

井上バレエ団『眠りの森の美女』

井上バレエ団7月公演は『眠りの森の美女』。王子役に英国ロイヤル・バレエから新進プリンシパルのティアゴ・ソアレスを招くはずだったが怪我のため降板。急遽、パリ・オペラ座バレエのプルミエール・ダンスールのエマニュエル・ティボーが代役として来日した…

松岡伶子バレエ団 アトリエ公演

17年前に始まったこの公演は、当初新人公演と謳われていたように、若いダンサーのための勉強の場として始められた。初期はクラシック作品中心だったが現在では第一線で活躍する振付家を招き、現代作品にも取組み成果を挙げている。 今年のゲスト振付家は島崎…