P’Lushダンスパフォーマンス『Scratch』

元気のいい3人娘(玉内集子、藤本理子、玉内類子)によるダンスパフォーマンス。4月の初単独公演ではミスチルの「フェイク」にあわせた群舞が躍動感に溢れ小気味いい後味を残したが、今回は趣を変えた。冒頭からしばらくはハンモックのように吊るされた布のなかでのダンス。その後も全編ほぼ踊り続ける。project suaraの種子田郷も楽曲提供。雰囲気のある音楽にあわせなかなかディープな時間を過ごすことができた。
玉内らは作・演出を務めた深谷正子の門下に当る。深谷は現代舞踊の藤井公・利子の門下。そして藤井夫妻の師は日本のモダンダンスの先駆者のひとり小森敏である。ルーツを探ればそうなるが、彼女たちの活動をそういった歴史の文脈で語るのは適当ではないかもしれない。とにかく魅力的なのは鍛えられた身体表現のなかにもイマドキの女の子の持つ自由な感覚に充たされていること。それを引き出す深谷も若い感性を保ち続けているのだろう。P’Lushは10月、11月にコンテンポラリー・ダンス界の最大組織JCDN主催「踊りに行くぜ!!vol.8」にも登場、山口、鳥取で公演する。より多くの観客にその存在をアピールしてほしい。
近年はモダンやコンテ、大学ダンスといった枠を越えて刺激的な取組みがなされつつある。鑑賞者はレッテルや偏見に惑わされることなく自身の目で見てものを考えダンスを楽しんでいくべきだろう。P’Lushの舞台を観てその思いを新たにせられた。

(2007年9月8日 神楽坂die pratze)

P’LUSH HP:http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Screen/2161/
深谷正子 HP:http://www.fukaya-masako.com/
玉内集子 HP:http://shuko.main.jp/