2006-01-01から1年間の記事一覧

チェルフィッチュ『エンジョイ』

岡田利規(チェルフィッチュ)が新作『エンジョイ』を新国立劇場で発表した。 新宿の漫画喫茶(マンキツ)を舞台に、30歳を越えた年長フリーター達を中心に、現代日本ですでに可視化されつつある格差社会の“下流”を生きる彼らの、バイトや恋愛に対する態度が…

JCDN「踊りにいくぜ!!vol.7」in大阪

JCDN,Odori ni Ikuze!!voil7 in Osaka 「踊りにいくぜ!!vol.7」in大阪を観た。5組が出演したが、なかなか興味深いラインナップ。 この日一番の収穫が玉内集子。ソロ作品『背中のつぼみ胸が咲いた』は即興ベースのようだが、両腕をはじめとした上半身の使い…

珍しいキノコ舞踊団『3mmくらいズレてる部屋』

Strange Kinoko Dance Company, sanmiri kurai zureteru heya 珍しいキノコ舞踊団の新作『3mmくらいズレてる部屋』はオーストラリア−日本ダンスエクスチェンジ2006の一環として行われた。キノコと豪のインテリアデザイナー、ジャスティン・カレオとのコラボ…

「踊りに行くぜ!!vol.7」in茅ヶ崎

JCDNの「踊りに行くぜ!!vol.7」茅ヶ崎公演を観ることができた。 茅ヶ崎での開催は初めてという。主催は茅ヶ崎市文化振興財団。公共の文化団体のリードによる公演だ。実行委員会形式でボランティアの方々が集まり主催するケースや、ダンス公演の開催はお手の…

オペラファンタスティーク『レ・パラダン-遍歴騎士』

オペラファンタスティーク『レ・パラダン』(04年初演)を観てきた。パリ・シャトレ座プロジェクトの最終公演。 ラモー作曲の3幕から成る喜歌劇&バレエだが、演出・振付のモンタルヴォ&エルヴュは元々のバレエシーン以外にも踊りを増やした。オペラというよ…

三代真史ジャズ舞踊団

M・MISHIRO DANCE COMPANY 名古屋を拠点として世界的にも活動する三代真史ジャズ舞踊団の東京公演を観ることができた。 会場は、芝・増上寺大殿。タイトルが凄い。「念佛の功徳に満てる本堂て 闇を翔りて ひかりにそ遭う」。文化庁芸術祭の参加公演。時は戦…

「踊りに行くぜ!!」voi.7前橋公演

Japan Contemporary dance Network(JCDN)主催による「踊りに行くぜ!!」。全国各地のアーティストがスペース間を巡回するプロジェクトで、若手アーティストを育てるとともに各地でコンテンポラリー・ダンス熱の高まりを促してきた。はや7回目となる今回は、…

ルジマトフ&インペリアル・ロシア・バレエ

Farukh Ruzimatov and Imperal Russia Ballet ルジマトフ&インペリアル・ロシア・バレエ公演を観た。 今回、『シェへラザード』は、ザハーロワと踊る回を観たかったのだが都合により断念。しかし、ルジマートフ&マハリナの『シェへラザード』は何度も観て…

佐多達枝バレエ公演『庭園〜the summer garden』

凄い作品に出会ってしまった。佐多達枝の『庭園』である。公演終了後、数日、虚脱状態というか、打ちのめされるくらいの衝撃だ。本年度ベスト1は確定、といっていい。世界的にみても極めてハイレベルだといえるのではないか。 佐多は大ベテラン。新国立劇場…

貞松・浜田バレエ団『ドン・キホーテ』

貞松・浜田バレエ団は『ドン・キホーテ』を02年に初演。プティパ/ゴールスキー版に基づき、再演出・指導はニコライ・フョードロフが当っている。この演出の特徴は、演劇的なドラマとしての成熟を目指していること。ゴールスキーはモスクワ芸術座の演劇理念…

金井芙三枝リサイタルVol.28

今年で75歳を迎える現代舞踊界の重鎮・金井芙三枝。故・江口隆哉に師事したのち、創作活動と平行して日本女子体育大学・同短期大学で教鞭をとるなど、後進の育成にもあたっている。自身の制作・主催によるリサイタルは28回目。しかし、今回をもって踊り収め…

後藤早知子舞踊生活50周年記念公演「Sachiko」

Gotho Sachiko,Sachiko 松山バレエ団、チャイコフスキー記念東京バレエ団でダンサーとして活動後、振付家として活躍する後藤早知子。80年代後半から創作を開始、『光りほのかに―アンネの日記』、『ZEAMI―世阿弥のほとけは能』など秀作を生み出している。こ…

世界バレエフェスティバル・ガラ

WARLD BALLET FESTIVAL 2006, GALA Performance 公演自体が4時間半、恒例の“おまけ”を含めると5時間半を越える長丁場だが、心地よい疲労感を覚える。 おそらく故障などの原因で、デュポン&ルグリ『ソナチネ』→『椿姫』第二幕のパ・ド・ドゥ、ステパネンコ&…

京都バレエ専門学校創立30周年記念公演―有馬龍子バレエ団―

ACADEMIE DE BALLET DE KYOTO 30th memorial recital-Arima Ryuko Ballet 日本初のバレエ専修学校として知られる京都バレエ専門学校。1976年に有馬龍子と有馬弘毅により創設され、今年で創立30周年を迎えた(現校長・有馬えり子)。名門パリ・オペラ座バレエ学…

ポール=アンドレ・フォルティエ『1×60』

山口県山口市にある山口情報芸術センター(YCAM)に行った。ポール=アンドレ・フォルティエ新作ダンス公演『1×60』を観るためである。フォルティエは、カナダ・ケベック州を拠点に活動するダンサー・振付家。一昨年の青山ダンスビエンナーレで初来日を果たして…

豪日共同ダンスプロジェクト『INK』

A-J Dance Project,INK 海外との共同制作による舞台は年々増加している。異なるバックグラウンドを持つアーティストたちが手を取りあい創造に励むことは意義深い。「ネオン・ライジング/アジアリンク-日本 コンテンポラリー・ダンス交流」の一環として行わ…

モーリス・ベジャール・バレエ団『バレエ・フォー・ライフ』『愛、それはダンス』

Bajart Ballet Lausanne, Ballet For Life and Best of Bajart モーリス・ベジャール・バレエ団の来日公演に感激した。 『バレエ・フォー・ライフ』は日本でも98年、02年と上演され大きな反響をよび、海外への“追っかけ”までいる人気作。その卓抜さを改めて…

Perfect Modern『サーカス団の白いトラ』

コンテンポラリー/モダン問わず、エンターテインメント性ひいては観客に“魅せる”という意識を持つ舞台は少ない。無論、自己表現が先行するのは当然。客に媚びる必要はないが、“魅せる”ということへの意識も必要だ。コンドルズのように笑いを巧みに生かした…

ダンスカンパニーカレイドスコープ「Five Works」

二見一幸率いるダンスカンパニーカレイドスコープ は、ムーヴメントの追及と作品としての完成度を共存させる稀有なカンパニーである。二見振付の特長は、多彩な語彙が高密度に詰めこまれていること。そして、密度の濃い振りながら、観た印象は重くなく、淀み…

ルジマトフの『ラスプーチン』

ファルフ・ルジマートフ主演『ラスプーチン』をみた。ロシア・ロマノフ王朝末期を揺るがせたラスプーチンをルジマートフが演じる。魔術を駆使し、ときの皇太子アレクセイを病から救い、皇帝一家の信頼を得、権力を掌握するにいたる。しかし、栄華は長くはな…

新宿芸術家協会「I ♥MOZART」

今年はモーツァルト生誕250年。音楽界はもとより各方面でモーツァルトにちなんだ催しが行われ、盛況の様子。そんなモーツァルト・イヤーの本年、モーッアルトと舞踊との相性について改めて考えさせられる公演が行われた。題して「I ♥MOZART」。新宿区在住・…

「新鋭・中堅舞踊家による現代舞踊公演」

“コンテンポラリー・ダンス”を支持するファンは、現代舞踊協会系=日本的モダンダンスの舞台を、まず観ない。“つまらないとわかっているから、みないと決めている“と声を大にして吹聴するダンス・フリーク、評論家も珍しくない(何をみるかは個人の自由、しか…

法村友井バレエ団「ロシア・バレエの夕べ」

法村・友井バレエ団は、70年の歴史を誇る関西きっての老舗バレエ団である。現団長の法村牧緒は、日本人として初めてロシア・ワガノワ・バレエ・アカデミー(現)に留学。ダンサーとして活躍後、指導者として多くの後進を育成している。現在、年二回の定期公演…

パリ・オペラ座バレエ団『白鳥の湖』『パキータ』

終わってみれば、やはりオペラ座だな、と思った。パリ・オペラ座バレエ団、3年ぶりの来日公演、開幕後もキャスト降板が相次ぎ混乱もみられた。お目当てのダンサーが観られず、悔しい思いをしたファン、高額なチケット代含め、パリ・オペラ座という“ブランド…

貞松・浜田バレエ団「ラ・プリマヴェラ〜春」

神戸の貞松・浜田バレエ団が「ラ・プリマヴェラ〜春」を開催した。創立40周年及びオハッド・ナハリン振付『DANCE』による文化庁芸術祭大賞受賞の記念公演。関西の雄としての自負と、上り調子のカンパニーの勢いを感じさせる舞台となった。 公演は三部構成。…

東京バレエ団・マラーホフ新演出『眠れる森の美女』

THE TOKYO BALLET,SLEEPING BEAUTY/Choreographed by Vladimir Malakhov バレエ界の貴公子・ウラージーミル・マラーホフがプロデュースする「マラーホフの贈り物」。今回は、恒例のガラ公演に加え、マラーホフ自身の演出・再振付・主演による『眠れる森の…

A.A.P.「ONKO CHiSHIN 温故知新」

A.A.P.,ONKO CHiSHIN “箱モノ行政”という言葉がある。舞台芸術の世界では、バブル時代を盛りに各自治体が劇場・ホールを競って建設。しかし、施設(ハード)を作っただけで、何を上演するのか(ソフト)という点が見過ごされ運営されていることが挙げられるだろ…

dance++「地獄のオルフェウス、あるいは脚のない鳥」

東京・神奈川(首都圏)に次いで舞踊が熱心な地域といえば、関西と思われるだろう。しかし、近年注目されるのが、愛知(中京圏)のダンス・シーンである。大小のバレエ団・バレエスタジオが林立、定期的に公演を行なうほか、現代舞踊協会中部支部の熱心な活動も…

ルジマトフ&レニングラード国立バレエ〜ルジマートフ、選ばれし者にして求道者、記憶に残る踊り手

世にすぐれた踊り手は数いれど、見るたびに印象を新たにし、進化と深化に畏怖を覚えずにはいられないダンサーは、そう多くはない。ファルフ・ルジマートフはその数少ないひとりである。40歳を過ぎてもマリインスキー劇場を代表する踊り手として活躍。クラシ…

日本バレエ協会神奈川支部『バフチサライの泉』

ロシアの国民的作家・詩人であるプーシキンの詩をモチーフに創作された『バフチサライの泉』は、1934年、ペテルブルクでザハーロフの振付により初演された。ロシア・バレエ不朽の名作である。しかし、日本ではポピュラーな演目とはいえない。昔、松山バ…