三代真史ジャズ舞踊団



M・MISHIRO DANCE COMPANY

名古屋を拠点として世界的にも活動する三代真史ジャズ舞踊団の東京公演を観ることができた。

会場は、芝・増上寺大殿。タイトルが凄い。「念佛の功徳に満てる本堂て 闇を翔りて ひかりにそ遭う」。文化庁芸術祭の参加公演。時は戦国、伊賀忍者組頭・服部半蔵は主君の長子であり悲運の最期をとげる徳川信康介錯を命ぜられる。やがて彼は主君の遺髪を胸に出家。決して陽のあたることのない忍びの者の人生、その光芒が描かれる。

天下布武を目指す義父・織田信長の命により自害を命ぜられた信康。妻・徳姫、娘・一の姫との別れを切なく描いた場は秀逸。幼少のころから剣術を教え、思慕してきた主君の介錯をしなければならない半蔵の葛藤もよく伝わってくる。7場構成でスピーディーに展開、各場冒頭のナレーションも簡にして要を得ている。

ただ、振付に物足りなさが残る。安易にバレエのパを使うのが気になってしまう。忍者たちがジュテをしながら舞台を横断していくのはご愛嬌としても、徳姫とその腰元たちの踊る場面では、アティチュードを諸々ポジションを替えただけの動きが頻出。アラベスク、ピルエットも何度も用いられる。創作作品しかも和のテイストを強調した作品でバレエのパをそのままあるいは少し変えただけのものが頻出するのはどうなのだろう。ジャズダンスやステージダンスに通じ国際的にも活躍する創り手にしてはその手法にいささか疑問が残った。

(2006年11月2日 大本山増上寺大殿)