東野祥子ソロダンス+ミュージシャンズ 『E/G - EGO GEOMETRIA』

東野祥子はダンサーとして卓越した存在であるだけでなく、主宰するBABY-Qの舞台では、美術や衣装、音楽など含めトータルな視点で自身のヴィジョンが徹底されており作家としての評価も高い(そのグロテスクで危険な香りのする世界観は好みが分かれるだろうが)。昨年秋、大阪・HEPホールで初演され、今年11月に東京でも上演される『GEEEEEK』はそのインパクトにおいては昨年のダンス公演のなかでも突出していた。
東野は、また、煙巻ヨーコ名義において各地のライブハウスなどに出没、ミュージシャンたちとのセッションを繰返している。今回行われた『E/G - EGO GEOMETRIA』では、ミュージシャンとダンサー(東野)がチャンス・オペレーション的にコラボレーションを繰り広げた。3回の公演いずれもミュージシャンは異なり、灰野敬二中原昌也、カジワラトシオという顔ぶれ。2日目、中原昌也の日を観ることができた。
“文壇最後の無頼派”とも称せられる中原は元々ミュージシャンであり、「暴力温泉芸者」→「HAIR STYLISTICS」というバンドを主宰している。中原がちょっと怪しげに、でも黙々とミキサーを操っている様が面白い。東野は舞台に砂を撒いたり、映像に合わせて踊る。東野といえば激しい踊りが魅力的だが、今回は、その微妙繊細な動きに惹かれた。衣装を手掛けた「ぺーどろりーの」もパフォーマーとして参加、アンダーグラウンド一直線のテイストを楽しめる。即興性を重視する企画やコラボレーション公演だと、ちゃんと段取りを煮詰めていないと中途半端なものになってしまうことも多い。東野はこのところさまざまの企画に参加しているが、今回、自前で本腰をいれソロダンス+ミュージシャンズ 公演として世に問いかけたのはいいことだろう。
会場のザムザ阿佐谷は阿佐ヶ谷駅北口からすぐ。映画館・ラピュタ阿佐ヶ谷の地下の小スペース。古材と土壁で出来ており、レトロな趣がある。東野は関西で活動していたが上京、杉並に本拠を構えている。地元に根付き公演する姿勢も好ましいと思った。
(2007年9月15日 ザムザ阿佐谷)

BABY-Q HP:http://www.baby-q.org/
ザムザ阿佐谷 HP:http://www.laputa-jp.com/zamza/main/index.html