2007-01-01から1年間の記事一覧

2007佐多達枝バレエ公演

佐多達枝バレエ公演が今年も行われた。近年『beach』『庭園』など重量級の大作が続いたが、今回は再演ものを中心とした短・中篇による構成。初見者にとっても佐多振付の妙味を味わえるプログラムとなったように思う。 なかでも島田衣子、武石光嗣、石井竜一…

葛タカ女 舞の会

地唄舞の舞い手のなかでも注目される葛流・葛タカ女の会をみることができた。 地唄舞とは、江戸時代中期から末期にかけて上方で生まれた、伴奏に上方歌を用いる座敷舞・上方舞の一種。大阪の土地に伝播した地歌を伴奏に用いるものである。地歌とは、盲人音楽…

ミラノ・スカラ座バレエ団『ドン・キホーテ』

ミラノ・スカラ座バレエ団7年ぶりの来日公演はルドルフ・ヌレエフ演出・振付『ドン・キホーテ』。プティパ以来の伝統を重んじつつ新たな解釈が施されている。コメディア・デラルテとの親和性など新機軸が打ち出され、ジョン・ランチベリーの手によりスロー…

H・アール・カオス、カレイドスコープ、平山素子、寺田みさこ

毎年、夏前から公演ラッシュが始まり、翌年の三月末まで続く。今年も5月末あたりからいろいろと興味深い公演が並んだ。 H・アール・カオス『Drop Dead Chaos』(5/24-27日 世田谷パブリックシアター)は久々の新作公演。これまでのカオス作品とは趣を大きく異…

公立施設への期待〜ティアラこうとう・ジュニアバレエ団&Noism

このところ興味深い公演を続けて観た。Noism07『PLAY 2 PLAY-干渉する次元』(5月8日・Theatre 1010)とティアラこうとう・ジュニアバレエ団『ヘンゼルとグレーテル』(5月3日・ティアラこうとう)。ともに公立施設の主催・運営によるものである。 Noismに関して…

P’Lush『Headanche アタマガイタイ』

P’Lushは、深谷正子門下の玉内集子らのユニット(衣装の田口敏子も第一回から参加)。96年に結成、メンバーを入れ替えつつショーケース公演中心に活動行い今回が初の自主公演だという(出演:玉内集子、鵜野久子、藤本理子、玉内類子)。深谷は、日本現代舞踊のパ…

稲本渡 アーティスティックライヴ

クラリネット奏者・稲本渡のライブ、ティアラ140+ #18 「WATARU INAMOTO Artistic Live 稲本渡 アーティスティックライヴ」を聴いた。 父の耕一はクラリネット奏者、兄・響はピアニストという音楽一家に生まれた稲本は、内外で活…

ウミヒコヤマヒコマイヒコ

昨年秋の『透体脱落』を最後に、劇場での公演を休止、各地で「場踊り」を行っている田中泯。近年は、山田洋次監督『たそがれ清兵衛』、犬童一心監督『メゾン・ド・ヒミコ』など映画にも出演、話題を集めている。その田中の主演する映画が今年初夏、公開され…

黒沢美香&大阪ダンサーズ『jazzzzzzz-dance』

強行スケジュールで観てきた。その価値のある、スリリングな舞台。横浜や東京のダンサーが踊るのも悪くないが、関西ならではのノリとパワーには圧倒される。一応段取りはあるものの即興ベース、ジャズやクレイジーケンバンドの曲にのせ、関西の個性派女子ダ…

バレエシャンブルウエスト『ブランカ』『フェアリーテイルズ』

初夏から春まで怒涛の公演ラッシュが続き、4月に入るとグッと公演数が減るのは例年通り。新年度、新学期の忙しい時期でもある。とはいえ、この時期に意欲的に公演を打つカンパニーもないわけではない。 バレエシャンブルウエストは第53回定期公演として『ブ…

ユニット・キミホ「Garden of Visions」

二十世紀バレエ団などで活躍したアンソニー・ハルバートと岸辺光代の間に生まれたキミホ・ハルバート。ダンサーとして踊るかたわら合同公演・発表会等での創作を手掛けてきた。05年には日本バレエ協会「バレエフェスティバル」において『Eve's Silma』を上演…

東京シティ・バレエ団meetsコンテンポラリーダンス

東京シティ・バレエ団の若手ダンサーに、オーディションにより選ばれたコンテンポラリー・ダンス気鋭の振付家が振り付けるという企画。ティアラこうとう内のさまざまな場所を巡演しながら行う公演形式も興味を惹いた。 真島恵理振付『死んだ男』(出演:古藤舞…

バレエTAMA「プティパの夕べ」

バレエTAMA公演「プティパの夕べ」が行われた。クラシック・バレエの父・マリウス・プティパの、日本でもなじみの薄い作品を含む傑作を連ねた公演。構成・演出はロシア国立バレエ団のプリンシパル・千野真沙美が手がけた。 三部構成、八作品を上演。第一部は…

バレエグループあすなろ公演

活きのいい踊り手と、企画力と行動力をあわせ持った制作者・指導者が揃う愛知舞踊界。そのなかでも地道ながら精力的に活動を続けてきた会がある。バレエグループあすなろ。岡田純奈バレエ団と川口節子バレエ団の合同公演である。1993年の結成以来、若いダン…

ちくは『ダンス・パタン・ランゲージ253 自分を語る小物』

山口を本拠に活動するちくはの東京公演『ダンス・パタン・ランゲージ253 自分を語る小物』をみた。山口情報芸術センター(YCAM)のスタッフも関わっているようだ。昨年、YCAMで会った某スタッフのひとに挨拶したのだがよく覚えていなかったみたい。まあ、…

東京二期会『ダフネ』

東京二期会がR・シュトラウス後期の隠れた名作『ダフネ』を日本初演した。ギリシャの神々を題材にした、一幕の牧歌的悲劇である。指揮はシュトラウスを振らせれば右に出るものはいないと評される若杉弘。演出・振付はH・アール・カオス主宰の大島早紀子が手…

バレエシャンブルウエスト「サロン・ド・バレエvol.2」

Ballet Chambre Ouest, salon de ballet vol.2 バレエシャンブルウエストが川口ゆり子紫綬褒章受賞祝賀サロン公演として「サロン・ド・バレエVol.2」を開催した。ホテルの宴会場に舞台を設営し、バレエを上演。その後、トークと食事を楽しむという趣向だ。 …

あいちダンスの饗宴「トリプル・ガラ」

愛知芸術文化センターでは、これまで地元バレエ団による合同形式による<あいちダンス・フェスティバル>、ダンスを中心にさまざまのアートを融合させた<ダンスオペラ>シリーズを行ってきた。今回は、“両者を統合し、さらに進化させた”試みとして「トリプ…

東京バレエ団<ベジャールのアジア>

THE TOKYO BALLET,The Images of Asia by Maurice Bejart 先だって上演された『ザ・カブキ』に続き、東京バレエ団の底力を感じさせる公演だった。ソリストのレベルの高さ、アンサンブルの妙。再演のたびに作品を練り上げていく舞台づくり。世辞抜きに「恐れ…

朱霊たち

Masaki Iwana,Vermilions souls 舞踏家・岩名雅記が監督した映画『朱霊たち』が公開中(ポレポレ東中野でレイトショー2月9日まで)。岩名は昭和20年(1945年)生まれ。舞踏研究所白踏館を主宰、現在は仏・ノルマンディに在住し公演活動を行なっている。毎年年末…

東京バレエ団『ザ・カブキ』

THE TOKYO BALLET,THE KABUKI/Choreographed by Maurice Bajart 東京バレエ団が3年ぶりに『ザ・カブキ』を再演した。いわずと知れた、丸本歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」のバレエ化。今回、久々に観て感じ入ったのは、東京バレエ団にとってはもちろんベジャー…