バレエシャンブルウエスト「サロン・ド・バレエvol.2」

Ballet Chambre Ouest, salon de ballet vol.2

バレエシャンブルウエストが川口ゆり子紫綬褒章受賞祝賀サロン公演として「サロン・ド・バレエVol.2」を開催した。ホテルの宴会場に舞台を設営し、バレエを上演。その後、トークと食事を楽しむという趣向だ。

バレエ作品上演は、川口と今村博明出演『タチヤーナ』より夢の場にはじまり、『おやゆび姫』より3つの踊り(カエル、コガネムシ、ツバメ)、『ディヴェルティメント』、『タチヤーナ』より芸人の踊り、『天上の詩』より泰季の踊りと続く。長年舞台に立ち続ける川口・今村の体力と精神力には敬服するほかない。橋本尚美、内藤明日香、吉本真由美、松村理沙、逸見智彦、吉本泰久ら川口・今村の育てた踊り手たちも勢ぞろい。師の晴れ舞台に華を添えた。バレエ上演の最後は『静三趣』。源義経の妻・静御前を主人公にした3章の佳編に仕立てた。長唄船弁慶」や雅楽、囃子の演奏を用いた和の創作。川口扮する静御前の、義経への思いを託した舞が印象的だった。この夕べに上演された作品はすべてオリジナル、しかもレパートリー作品である。さまざまなリスクを負いながらも意欲的に創作作品を生み、練り上げていく――シャンブルウエストらしい進取の精神に感じ入った。

都心の劇場での定期公演に加え、地元・八王子市に根付いた活動は貴重。また、夏の恒例となった「清里フィールドバレエ」は多くの観客にバレエの魅力を伝えている。川口の受賞を期に、さらなる発展を望みたい。

(2007年2月9日 東京全日空ホテルB1プロミネンス)