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Noism

先日のNoism公演で配布されていたフリーペーパーが好評のようだ。
新シーズンから加わった人も含めたメンバーの紹介や、創設当初からの年表形式で綴るカンパニーの軌跡、発売中のDVDの紹介などカラー写真入りで内容、ヴィジュアルともなかなかの出来。公演会場のほか一部バレエ用品店等でも配布されている。
で、年表・作品歴を観ていて気がついたのだが、国内で公演として上演された作品は『SHIKAKU』からコンプリートしていた。新潟のみの能楽堂公演、関東圏ではつくばのみ上演だった『sence-datum』を観られたことは大きかった(媒体には能楽堂公演、『sence datum』「TRIPLE VISION』の評を書いた)。国内では基本的に新作を上演しているが、『NINA』『PLAY 2 PLAY』などはぜひとも再演して欲しいものである。

アキコ カンダ

現在発売中の「婦人公論」、ルポルタージュ・時代を創る女たちに「孤高のモダンダンサー」として取上げられている。文・写真:井上和博氏。
7歳からモダンを学び、その後マーサ・グラハムに師事しグラハム舞踊団の一員として活躍したが、その人生、創作の歩みは決して平坦なものではなかったことが改めてうかがえる。世には様々な差別や偏見があるものだが、苦境を逆手に取り、真摯な取組みを続けてきたアキコ。帰国後、創作の場はなかなか与えられなかったが自分で発表の場を作ったというエピソードは、敷かれたレールや手厚いサポートに慣れきった現在の若いダンサー・作家たちにも示唆に富むのではないだろうか。
先日の公演では見事な踊りをみせたが、記事によると、じつは体調を崩しここ10カ月踊られなかったという。踊れなくなり、復活、踊ることの素晴しさを噛み締めたという老境の作家の言葉が胸に響く。
「夢を追い続けることは、生きているということだから」

ちなみに昨年春、写真集が発売されている。

貞松・浜田バレエ団

9月に兵庫・尼崎で行われた『白鳥の湖』の評が「ダンスマガジン」12月号、旬刊「音楽舞踊新聞」10/21に出ている。地方(原則、筆者は使わない)の公演は全国メディアにはなかなか大きく載らないがともに大きな扱い。
港・神戸を拠点に置く同バレエ団。日本人の得意とする加工貿易ではないが、西洋から入ってきた古典中の古典を長年自力で研究を重ね、独自の版として練り上げてきたことは、高く評価されていいとあらためて思う。その精緻な演出とアンサンブルの妙は、バレエになじみの薄い観客をその魅惑へと誘い、コアなバレエファンをも唸らせる。
先日は、恒例の「創作リサイタル」が行われた。ナハリン、マランダイン、ユーリ・ン、ウェルチ、そしてバランシン、チューダーら世界的に知られた振付家の創作をレパートリーに持つ団体だが、今年は石井潤の『泥棒詩人ヴィヨン』、同団出身で欧州で活躍する森優貴の新作『羽の鎖』など邦人の創作を上演。世界レベルの作品を踊りこなすいっぽう、みずからの手で新たな作品を生み出している。創造に重きを置く創作姿勢。舞踊集団としてプロのバレエカンパニーとして非常に理想的な態度であると思う。