三池崇史監督映画の振付等について

先日行われたベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、惜しくも賞は逃したものの地元メディア等で好評を博したと報じられたのが三池崇史監督の時代劇映画「十三人の刺客」。これは東映京都撮影所の製作、工藤栄一監督・片岡千恵蔵主演により1963年に公開された時代劇映画の名作のリメイクである。三池監督が役所広司稲垣吾郎はじめオールスターキャストで撮りあげヒットしているようだ。
ところで、三池監督といえば、いま最も乗っている映画監督。メジャー/非メジャー囚われず、多作でジャンルにとらわれない作品を手掛けているだけに、キャストやスタッフの顔ぶれも多彩。ダンス関係でいえば、3年前、「十三人の刺客」同様にベネチアのコンペに出品された異色西部劇「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」の振付にBATIKを主宰する黒田育世が参加している。さらに、黒田とはファニーな快作「私の恋人」シリーズで共演しているコンドルズ主宰の近藤良平は、三池映画ではミュージカル仕立てのホームドラマカタクリ家の幸福」、ジャニーズの桜井翔主演のヒット作「ヤッターマン」に振付けで参加。他にも、「横浜ダンスコレクション」等で活躍し、現在は音楽座ミュージカルの振付等を手掛ける杏奈も三池監督の短編映画「box」の振付を手掛けている。
この頃は、映画・テレビやCM、演劇やミュージカルといった分野でコンテンポラリー・ダンス振付家やダンサーが活躍する機会が増えてきた。三池監督の映画での黒田や近藤の活躍はその最たるもの。黒田など今年、予想外の大ヒットを記録し映画賞レースの有力候補に上るといわれている中島哲也監督「告白」でもキーパーソンとなる役柄で出演を果たした。こういった場が広がってきたのは、関係者の努力とアピールによって社会的認知を得たのと、メディアやジャーナリズムの後押し、たとえば乗越たかお氏の「コンテンポラリーダンス徹底ガイド」刊行や演劇誌等への紹介を行ってきたライターの方の仕事も大きいかと思う。アーティスティックな活動を基盤に置きつつさまざまのメディアに進出していくことは大切(無論、安易に消費されないようにしなければならないが)。ダンスをめぐる諸状況がより良く改善されていく糸口になればと願っている。
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