新宿芸術家協会「シェイクスピアを踊る」

新宿芸術家協会主催公演 The Dance Gathering Vol.13
シェイクスピアを踊る」

第1部「フレッシュコンサート」
●土屋乃予『恋』
●山口紗陽『樹の雨』
●関あゆみ『二面鏡』
佐藤かおり『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥ
遠藤綾野『Mothers』

第2部「シェイクスピアを踊る」
●雑賀淑子『口上』
●庄司恵美子『デスデモーナの遺言』
●平田明子『ソネット12』
●山本寿美子『オフェリア』
●佐藤雅子『イノセンス
●小林伴子『私の中のハムレット
●鈴木恵子『梁祝』
●小林祥子『マクベス
●大谷けい子『夏の夜の夢』
●池田端臣『あなた様はダレ!』

(2009年2月26日 四谷区民ホール)

新宿区在住・在勤の舞踊家の集う公演。バレエ、モダン、フラメンコ、さらにはインドのカタックや鳳仙功舞踊まで多彩なアーティストの競演だ。寄せ集めの合同公演ではなく、毎年お題を決めて行うのも特色である。以前は「古事記」「源氏物語」「モーツァルト」といったテーマに沿って創作した。今年は「シェイクスピア」がお題。「オセロ」「マクベス」「ハムレット」といった作品を題材に各々趣向を凝らした作品を発表していた。前座的ではあるが「フレッシュコンサート」と題し若い踊り手に作品発表の場を与えるのも特徴。私的に注目したのは遠藤綾野作品だった。遠藤は師事する佐多達枝作品のみならずコンテンポラリー・ダンスの神村恵らの作品にも出演する気鋭の若手である。5人の女性ダンサーを使って小品を振付けた。カジュアルないでたちの女の子たちによる気負いないパフォーマンス。そんななかにも彼女たちに潜在する女性性を巧みに描き出し手ごたえがあった。佐多作品を踊った踊り手からは多くの創り手が生まれている。堀登、足川欽也、坂本登喜彦らは振付家として一定の評価を受けているし、石井竜一、高部尚子も近年創作をはじめ注目を集めている。関口淳子も昨年から振付をはじめ既に秀作を発表。佐多作品を踊るには音楽性はもとよりステップへの高い意識を求められる。それはとりもなおさず振付家としての素養を養うことにつながっているように思う。佐多門下から羽ばたく創り手たちが日本の舞踊界に“佐多山脈”とでも呼ぶべき系譜を形成し、傑作を連打する日も遠くはないのでは、と期待が膨らむ。