the Ground-breaking 2009/Red Brick Contemporary Dance File・梅田宏明 新作公演

芸術文化振興基金助成事業
the Ground-breaking 2009/Red Brick Contemporary Dance File
梅田宏明 新作公演

主催:STスポット、横浜赤レンガ倉庫1号館●ビデオ作品『MONTEVIDEOAKI』
●グループ作品『1.centrifugal』
●ソロ最新作『Haptic』
●ビデオインスタレーション『Prototype-video installation Haptic』

(2009年3月20日 横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール)

2002年の横浜ダンスコレクションにおいてバニョレ本選の出場権を獲得、以後欧州や北米でのツアーを中心に活動している梅田宏明の初となる単独公演が行われた。私が梅田作品を観たのは前記の2002年の横浜のコンペおよび翌年の受賞者公演、さらに2006年の「Three men's choreography」と題されたトリプルビルにおいて遠田誠、鈴木ユキオと競演した際、そして日本の舞踊ジャーナリズムやファンに広く注目されるきっかけとなった2008年の新国立劇場コンテンポラリーダンス公演への招聘である。国内公演が極端に少ないけれども幸いにしてそのほとんどを目にすることができた。梅田の出自は定かではないが、ヒップホップをはじめとしたストリート系の動きも援用しつつ独自の運動を構築。音楽、照明デザインも自身が手掛け、ノイズ系の音響とシンプルながら微細に変化する光の綾が緊張感たっぷりに交錯する。無機的ななかにうかびあがるリアルな感覚が梅田の魅力だ。今回はより動きに自在度の広がった新作ソロ、“遠心力”をテーマに3人の女性ダンサーがミニマルなダンスを繰り広げたグループワーク、センスよく切れ味のいいダンスを楽しめるダンスビデオ、目を閉じると瞼に映像が映しだされるという体験型インスタレーションと盛りだくさんで楽しめた。国内での活動実績の少ない梅田をサポート、紹介の場を作った企画者・主催者の仕事は称賛に値する。the Ground-breakingという若いアーティストを育てることに定評ある企画の実績もあってこそ助成金も得られ企画が成立したのだろう。梅田のデビューのきっかけを作った横浜赤レンガ倉庫1号館やSTスポット、急な坂スタジオがフィンランドとの共同制作によってグループワーク作品制作をバックアップしたことも特記しておきたい。