「ダンスマガジン」1月号

「ダンスマガジン」1月号を読む。



ボリショイ・バレエマリインスキー・バレエ合同ガラ公演の速報スペシャルが充実。両バレエ団の若手ダンサーによる対談がとにかくおもしろい。出ているのはボリショイからナタリヤ・オシポワ、イワン・ワシーリエフ、マリインスキーからヴィクトリア・テリョーシキナ、ウラジーミル・シクラリョーフ。舞台でのエピソードや地元での日常について談論風発という感じ。飾らない人柄やバレエへの真摯な思いが感じられた。また、久々に日本の観客の前で貫録をみせつけた女王ガリーナ・ステパネンコと来シーズンからミハイロフスキー劇場へと移ることが決まっているレオニード・サラファーノフの近況を知ることができるのもうれしい。そしてウリヤーナ・ロパートキナは表紙を飾っている。
来年1月に来日するベルリン国立バレエ来日直前情報もたっぷりで、インタビューやみどころ紹介も豊富。インタビューは、パリ・オペラ座バレエのニコラ・ル・リッシュ。故ヌレエフの薫陶を受けた最後のエトワールであるだけに、ヌレエフと過ごした時間について語られるのは貴重だ。また、ベジャールやプティ、ノイマイヤー、ロビンズ、エックらとの協同作業やシルヴィ・ギエムとの共演についても語られる。偉大なる先人たちから受け継いだ財産を後進へと伝えていく決意も感じられ、なんとも頼もしい。
レビューでは、今夏〜秋に行われ盛況だった「あいちトリエンナーレ2010」のパフォーミングアーツ公演についてや東京はじめ各地で行われたバレエ公演が取り上げられている。谷桃子バレエ団の望月則彦振付『レ・ミゼラブル』、貞松・浜田バレエ団の森優貴振付『冬の旅』という、創作バレエ、コンテンポラリー・バレエの大作が紹介されてもいる。古典偏重といわれるわが国のバレエ界において、日本人の手による物語バレエや創作大作の創造は本当に貴重といえる。コンテでも、マイム・ダンス・演劇を越境した小野寺修二/デラシネラの話題作『異邦人』、2週にわたるロングランを敢行したKENTARO!!のソロ公演がピックアップされていたりしている。この秋のバレエ&ダンス公演は本当に充実していた、という思いを新たにさせられた。