東京小牧バレエ団公演「新たな旅立ち」

平成20年度文化庁芸術創造活動重点支援事業
平成20年度文化庁芸術祭参加公演
東京小牧バレエ団公演「新たな旅立ち」  
出演:アルタンフヤグ・ドゥガラー/関根かなみ/李波/周東早苗/原田秀彦/長者完奈ほか
演奏:東京ニューシティ管弦楽団 合唱:東京合唱協会 指揮:内藤彰
『レ・シルフィード

振付:小牧正英 再現振付:酒井正光
マタハリ

振付:菊池宗 補佐:酒井正光
イゴール公』

振付:小牧正英・佐々保樹
(2008年11月1日 新宿文化センター大ホール)

東京小牧バレエ団は昨年の小牧正英追悼公演『白鳥の湖』を終え、団長の菊池宗のもと新生・小牧バレエ団として「新たな旅立ち」と銘打った公演を行った。同団が大切にしてきた上海バレエリュスの遺産であるレパートリーを継承し、来年(2009年)のバレエリュス誕生100年に寄せるという意図もあるようだ。幕開けの『レ・シルフィード』はフォーキンの傑作にしてアブストラクト・バレエの嚆矢のひとつ。今回は小牧正英による日本初演版の復元であり、古きよき味わいのある演出である。創作バレエ『マタハリ』は菊池宗のオリジナル作品であり、スパイの容疑にかけられ悲運の生涯を終えた舞姫マタハリの生と死のバレエ化だ。バレエリュスが一大センセーションを巻き起こした要因としてベル・エポックの芸術思潮を見逃すわけにはいかない。その時代に材を得た『マタハリ』を上演するのも腑に落ちる。カフェバー・マキシムにおいてのカンカンダンスなどパリの華やかな繁栄を伝える場もあって楽しめた。『イゴール公』はバレエリュスの旗揚げ公演で上演されたものであり、オリエンタリズムと男性舞踊手の力感溢れる踊りに当時パリの観客は熱狂したと伝えられる。小牧版は昨年のモンゴルでの親善公演で好評を博したというが、明るくなかなかエネルギッシュな舞台ではあった。