日本―フィンランド―韓国・共同制作プロジェクト『黄色のライン』

平成20年度文化庁国際芸術交流支援事業
日本―フィンランド・韓国―共同制作プロジェクト『黄色のライン』
振付・出演:サリ・パルムグレン(フィンランド)
出演:パク・ウンヨン(日本)/前澤香苗(日本)/戸田はる香(日本)
(2008年12月14日 創造空間9001)

“「Education(教育)」と「Exchange(交流)」をテーマに掲げ、それぞれの国の文化的背景を超えて、お互いを刺激しあい新たなアートを生み出すプロジェクト”。フィンランド振付家サリ・パルムグレンと「横浜ダンスコレクションR2008」で審査員賞を受賞した韓国人ダンサー、パク・ウンヨン。そして応募から選ばれたダンサー、前澤香苗・戸田はる香の4人が急な坂スタジオにて3週間のレジデンス制作を行いワークインプログレスを公開した。東急東横線桜木町駅の改札跡を活かしたスペースが舞台。開演時間になると駅前の雑踏のなかから4人のダンサーが人知れずあらわれボストンバッグを投げ合ってパフォーマンスが始まる。その後は振付家のパルムグレン以外の3人がダンスを披露。最初は互いが触れ合うこともなくじっくり淡々とした動きを積み重ね。じょじょに激しい動きもみせる。ときには駅前の雑踏へとスッと消えていく。出演者たちが異なる文化的背景を尊重しながら身体で触れ合っていく様はなかなか感動的であった。スペースと駅前の雑踏の間の扉は開け放たれ通行人もパフォーマンスを観劇できる。シアターゴーアー以外のお客さんにダンスってなんだか面白い!と思ってもらうにも劇場へ足を運んでもらう(入場料も払って)には幾重ものバリアがあるわけだ。公的施設が公的な助成も受けて行う文化事業が関係者や一部のファンだけに享受されるだけでは名折れという面もある。今回のように関係者向けのプレゼンテーションに終わらず未知の観客との出会いを求める制作姿勢・公演形態は望ましく思われた。