JCDN「踊りに行くぜ!!vol.9 SPECIAL IN TOKYO」

平成20年度文化庁芸術団体人材育成支援事業
JCDN全国パフォーマンススペース間のダンス巡回プロジェクト
「踊りに行くぜ!!vol.9 SPECIAL IN TOKYO」

●鈴木ユキオ[金魚]×辺見康孝『Love vibration』
●チョン・ヨンドゥ『風の合間で in the pauses of the wind』
●北村成美『パラシュュート』
●j.a.m.Dance Theatre『tango』
●yummydance×トウヤマタケオ楽団『手のひらからマウンテン』

(2009年3月7日 吉祥寺シアター)

JCDN主催「踊りに行くぜ!!」は9回目を迎え昨秋全国19都市で41組のアーティストが各スペースを巡演した。各地域にダンスを観ることの楽しさを伝えてきたこの企画は日本のダンスシーンにとって画期的なものであり高く評価されていい。今回のスペシャル公演では選りすぐられた5組の作品が上演された。北村成美作品は彼女の持つパワフルかつ奔放なダンスを堪能できる逸品。j.a.m.Dance Theatre作品はタンゴの官能的なリズムにのせて男と女の激しい愛の交歓が描かれる。チョン・ヨンドゥ作品は男女間の微細な関係の揺れ動きを技巧に溺れることなくナチュラルに浮き彫りにする。鈴木ユキオ[金魚]×辺見康孝作品とyummydance×トウヤマタケオ楽団作品は昨年3月京都で上演された「DANCE×MUSIC!」公演で観ているが巡演を重ね、DVD用の撮影まで行われている。再演を重ねてともに見事な出来ばえに仕上がっていた。前者は鈴木とヴァイオリニスト辺見の不即不離の掛け合いがなんともスリリング。そして、最後、辺見の奏でる哀切なバッハ「無伴奏チェロ組曲」で踊る鈴木の孤絶の身体が観るものの胸に迫る。後者は異色の楽団の演奏とyummyの親密感あるダンスが絶妙に溶け合い展開していく。「永遠に続いていてほしい・・・」と思えるくらいの甘美な時間が現出していた。スペシャル公演はほとんど欠かさず観続けているけれども、各作品のクオリティの高さ、プログラミングの妙からいって私的には今回がもっとも満足のいくものだった。