KAPPA-TE vol.7『潮 』

KAPPA-TE vol.7『潮 』
振付・出演:白井麻子、柴田恵美、村岸もと子、川上暁子、松本梓、渡辺久美子
(2009年3月24日 THEATER BRATS)

KAPPA-TEは白井麻子が中心となって活動しているカンパニー。白井は文化庁の在外研修員として2年間渡英して研鑽を積み、JCDN「踊りに行くぜ!!」や「横浜ダンスコレクションR」ファイナルにも選出されるなど実績十分の創り手である。「東京シティ・バレエ団meetsコンテンポラリーダンス」にも作品を委嘱されるなど幅広い活動が目立つ。一年半ぶりの自主公演は白井ふくめ6人の集団創作。武元賀寿子作品等での活躍が印象的な柴田恵美や「ラボ20#20」等にも登場して注目される川上暁子ら異才が揃っているだけに期待が膨らむ。かって観た白井作品ではオブジェや小道具などを用いたものもあったが、今回は踊りの直球勝負。ソロパートと呼べるほどのものはなく集団でのダンスが中心で序盤からゆったりとした展開。それなりに踊れるダンサーが集い、踊りをみせるだけで最後まで観るものの興味をつなぎとめることはできる。ただ、集団創作はよしとしてダンサー個々の個性というかキャラクターを打ち出すのでもなく、有無を言わさぬダンスで押すのでもなく、どっちつかずな印象がやや残った。集団創作を掲げるのはいいけれども、やはり誰かが求心力を持ってまとめるべきではなかったか。モダン、コンテといった枠にとらわれない意欲的な活動をするダンサーの集う注目株であるだけに、より個々のパーソナリティを活かしつつ強度ある表現を望みたいところだ。