「ひかり、肖像」パリ&ブダペスト公演と森優貴

昨年5月、東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂にて初演された、能とダンスのコラボレーション「ひかり、肖像」は、バレエダンサー酒井はなと重要無形文化財指定保持者・津村禮次郎、さらにドイツ・ヴィースバーデンバレエ/トス・タンツカンパニーでダンサー兼振付家として活躍する森優貴の共演が話題になりました。このたびパリ&ブダペストにて上演されます。それに先立ち先日公開リハーサルも行われたようです。
同作で振付も手がけた森は、下記紹介する本人の公式HP・blogに掲載の略歴をみればわかるように、弱冠30歳ながら欧州でダンサー/振付家として華麗なキャリアを誇り活躍しています。欧州の先端で習得した舞踊語彙の豊富さ、構成力の高さは折り紙つき。さらに音楽を繊細に捉えて鮮やかに舞踊化する手腕に長けています。
近年は古巣で関西の名門、貞松・浜田バレエ団の「創作リサイタル」に作品を提供し、2007、2008年に発表した『羽の鎖』では文化庁芸術祭新人賞を獲得。他に、しなやかな感性とノーブルな雰囲気を併せ持つ俊英・武藤天華、清潔感のあるスタイルとダンスによって古典/コンテンポラリーを鮮やかに踊り分けるプリマ、竹中優花という後輩たちに振付けたソロや名プリマ渡部美咲と師である貞松正一郎に振付けたデュオなどをコンクールやガラ・コンサートで発表して好評を得てもいます。昨年は「ひかり、肖像」『羽の鎖』再演によって音楽・舞踊・演劇・映像の綜合専門紙「オン・ステージ新聞」の新人舞踊家ベスト1を獲得。また、「ひかり、肖像」において森は、自身によるダンスも披露しました。繊細な感性光り、ダンサーとしても類稀な資質を発揮しています(ヨーロッパ・ツアーでは、森のスケジュールの都合上、中川賢が代役として出演)。
欧州の第一線で学んだ振付家としては、ベジャール、キリアンの下で研鑽を積んだ金森穣が帰国、ご存知の通りNoismの芸術監督に地位にあります。ノイマイヤーの下にいた服部有吉はカナダに移籍、昨年は日本での活動はありませんでしたが今夏は帰国しコラボレーション作品を発表します。森の作品も日本で観る機会が増えてほしい。ただ、優れた才能を安易に消費することなく紹介されることを切に願うばかりです。

森優貴 公式HP:Yuki Mori dancer/choreographer ↓
http://yukimoriopaque.web.fc2.com/
森優貴 公式blog:YukiBlog- OpaqueVase ↓
http://yukiopaquevase.blog43.fc2.com/