神奈川の舞踊事情

先日、神奈川・横浜にて2つのダンス公演を続けて観ました。
ひとつ目は『牛2』というイベント。会場は横浜の名所で京都や鎌倉から歴史的建造物を移築した三渓園にある旧・澄名寺本堂でした。ダンサーと音楽家のコラボレーションを中心としたプログラムであり、観たのは黒沢美香(ダンス)×スティーヴエトウ(パーカッション)の共演回。アンダーグラウンドで疾走し続ける黒沢のダンスとポップな装いのなかに一流の腕を感じさせるエトウ演奏の絡む妙を心ゆくまで堪能しました。
ふたつ目はDance Sanga Workshop Showing「中村恩恵と仲間たち」(於:神奈川県立青少年センター多目的プラザ)。ネザーランド・ダンス・シアター1で活躍した中村が行う催しです。中村と廣田あつ子のデュオや小尻健太、堀田千晶、西貴子によるトリオなどを上演。ユニセフへの寄付支援を目的とするチャリティイベントでもあり「ダンスを通じて社会に対して何ができるのか」を考え活動する中村の真摯な姿勢が光りました。
黒沢さんと中村さんはともに地元が横浜。地域に根を張った活動が印象的です。神奈川は舞踊の盛んな土地柄であり、日本バレエ発祥の地。バレエ界の有力者が多く在住しバレエスタジオが点在、日本バレエ協会関東支部神奈川ブロックも精力的に活動しています。現代舞踊も盛んで神奈川芸術舞踊協会があります。舞踊コンクールもいくつも行われています。コンテンポラリーでは、横浜赤レンガ倉庫1号館やSTスポットや急な坂スタジオの活動が積極的。黒沢さん、中村さんらのほかに二見一幸や矢内原美邦らも公演活動は都内中心ながら神奈川にスタジオ等を構えています。
首都圏一極集中といわれる日本のダンスシーンですが、東京都内と近郊地域を一括りにはできません。神奈川には文化庁の重点支援事業を受けて活発に活動するバレエ団のような大手民間団体はありませんが地道に活動する舞踊家が少なくない印象です。最近では、THE バレエカンパニー・オブ・横浜という団体が立ち上げられ、今後の動向が気になるところ。今年は横浜の開港150周年ということで盛り上がっていますが、神奈川の舞踊シーンの充実ぶりと発展も注目されていいと思います。