東京シティ・バレエ団がキミホ・ハルバート作品上演

東京シティ・バレエ団の発行するニュースレター「TCB NewsLeter」(公演等で配布)の最新号となる2009.10 vol.11/12号がこのほど発行されました。
来年2月に上演される『カルメン』再演の話題や新制作されて話題となった『ロミオとジュリエット』等今年に入っての公演を振り返るニュースで盛りだくさんですが、今後の公演情報の欄を眺めていると、驚きのニュースが!なんと来年の5月に行われる「ラフィネ・バレエコンサート」においてキミホ・ハルバート振付作品が上演されるようです。
キミホは、ダンサーとして活動する傍ら創作を続け、多方面から評価される存在。主宰するユニット・キミホ公演のほか日本バレエ協会公演等でも作品発表しています。ステップと音楽の掛け合わせに非凡なセンスをみせ、ことにパ・ド・ドゥの造形は卓越。繊細な感受性を反映した“キミホ・ワールド”と呼び得る独自の世界観に満たされた創作に熱狂的なファンも少なくありません。タイトル未定と出ているので新作になるのかも。
東京シティ・バレエ団は、1968年の創設以来、古典作品の上演とともに創作作品の発表に力を入れてきた貴重なカンパニーです。石田種生、石井清子という創設以来のメンバーや中島伸欣ら団員の創作を積極的に発表してきました。近年では外部委嘱にも積極的。毎年恒例の「ラフィネ・バレエコンサート」では、ジャズダンスのウメダヒサコやブルガリアのブラドゥミール・アンジェロフらの作品を上演しました。これまで2回行われた「東京シティ・バレエ団meetsコンテンポラリーダンス」では、山田せつ子、富野幸緒、鈴木ユキオ、大橋可也といったわが国のコンテンポラリー・ダンスの一線の作家の新作を踊っています。キミホ作品導入もその延長線上のものとして自然に受け止められますが、首都圏の著名カンパニーが、しがらみにとらわれずに同時代のダンスシーンで活躍する振付者に声を掛けるということは、やはり得難いといえるでしょう。
わが国のバレエ界は、優れた踊り手を無数に輩出し、海外でも多くの人が活躍しています。しかし、国際水準で通用する創作は正直どれ位あるでしょうか。創作というクリエイティブ面において世界に貢献してこそ日本は世界に誇るバレエ大国といえるのは論を待ちません。フリーランスの、立場の弱い振付家に優れたダンサーと作品発表の機会を提供することは、わが国の創作水準を向上させる原動力となるでしょう。東京シティ・バレエ団の英断は注目されます。まだ先の話ですが成功に期待しましょう。