首藤康之の現在

東京バレエ団特別団員であり、ダンサー/俳優として広く活躍している首藤康之舞踊家振付家中村恩恵 とのコラボレーション『時の庭』(世界初演)に出演しました(1月7〜12日 神奈川県民ホール ギャラリー)。これは「日常 場違い」展という展覧会にあわせたアートコンプレックスの企画の一環であり、オランダ在住の美術作家・佐藤恵子のインスタレーションを用いて行われるライブ・パフォーマンスです。
首藤は2004年春以降、服部有吉や小野寺修二の作品に出てきました。ことに小野寺が演出・振付を手がけた『空白に落ちた男』(2008年)は、マイムやダンスといったジャンルを越境してのスリリングな舞台に仕上がり、その中心で触媒のように演者やスタッフから化学反応を引き起こしていたのが首藤の磁力ある存在感でした。振付家、演出家の世界観にスッと染まり、浸透して、そのうえで作品に欠かせない要となるのが首藤の特長。『時の庭』では、佐藤の生んだ、大きな切り株をたくさん用いた自然と人工が入り混じり時空を超越したような不思議空間において男・首藤と女・中村、それに影である青木尚哉のパフォーマンスが展開されます。首藤と中村の朗読したテキストが流され、オープンな空間において生と動が交錯するダンスが繰り広げられました。
百数十人も入れば一杯の会場とはいえ安くはない料金なのに前売券・追加席が完売。追加公演まで行われる首藤人気は大したもの。強烈に個を押し出すことはありませんが人目を引くサムシングを備え、動向が常に気になる表現者です。昨夏には封印していたベジャール振付『ボレロ』を踊るなどバレエ・ダンサーとしての活躍に加え、コンテンポラリー・ダンスや演劇での活動に一層注目が集まります。シディ・ラルビ・シエルカウイと組んで世界ツアーも行った『アポクリフ』の来日公演も期待したいところ。
当方も寄稿した“首藤のすべて” 見事な編集で首藤の魅力に多角的に迫る


prints (プリンツ) 21 2006年冬号 特集・首藤康之[雑誌]

prints (プリンツ) 21 2006年冬号 特集・首藤康之[雑誌]

2月発売予定のレッスンDVD


Ballet Work 首藤康之の美しくなるバレエ [DVD]

Ballet Work 首藤康之の美しくなるバレエ [DVD]