TETSUHARU構成・演出・振付『PLANET bite-sized』

エネルギッシュで胸すくような興奮を味わえつつ肩のこることなく楽しめる痛快なステージ。CSB International が企画・制作する『PLANET bite-sized』は、プロのダンスエンターテイナーたちが集って小空間で惜しげもなくその妙技と個性を爆発させる贅沢なイベントだ(6月1、2日、7、9日 各日19:00&22:00 西麻布 Super Deluxeにて上演中)。
演出・振付・出演のTETSUHARU(増田哲治)は、安室奈美恵SMAPらのステージやミュージカルへの振付で知られる。昨年末のNHK紅白歌合戦では、SMAPが出演した「MICHAEL JACKSON トリビュートショー」においてダンサーコーディネート、 SMAPを含めたダンス監修、それにMICHAEL JACKSONの振付師TRAVIS PAYNE、STACY WALKER らとショーを手がけた。ご覧になった方も少なくないだろう。ショービジネスとコンテンポラリー・ダンスを行き来する異才・新上裕也の舞台にも出演している。
今回の『PLANET bite-sized』は、懸賞金を掛けられたスーパーマンやそれを追う有象無象たちが絡んでいくというストーリー展開があるものの畳み掛けるように続くダンスやコミカルなやり取りの応酬を楽しむことがメインとなってくる。ショーダンサーや整体師、武術師範や弟子といった男たち、モデル、カリスマ占い師、家事手伝いの3人娘扮するチャーリーズエンジェルたちが入れ替わり立ち代わり舞台に現れる。スピード感たっぷりに展開されるナンセンスでドタバタしたタッチのダンス笑劇を楽しむことができた。
TETSUHARU&仲間たちは、ストリートダンスやHOUSEダンスの注目株、それに俊英バレエダンサーと幅広いメンツ揃いだ。YOSHIE(BE BOP CREW)、Jungle(NUMERO UNO)、HIRO(ALMA)、TATSUO(GLASS HOPPER)、山田海峰、吉本真悟、大貫勇輔、長澤風海、 ENDo、KO、MAEDA(KAMIKAZE CLOWNZ)、TETSUHARUという、ディープなファンにはこたえられない、各ジャンルトップ級が揃っていて、壮観だった。
ショービジネスやエンターテイントへの愛が詰まったステージだが、多彩なバックグラウンドのダンサーたちを巧みにさばくTETSUHARUの手腕が見事。各ダンサーにしっかり見せ場を配しつつステージの進行を滞らせることはない。各ダンサーとも得意の技を披露するが、コンテストやショーケースでの一発芸とは違う。いかにすごい技や斬新なムーブメントであってもそこだけ見せられると「だから、何?」となる。芸の開陳に終わる場合も多い。『PLANET bite-sized』では、各ダンサーが妙技をみせ自己主張を打ち出しつつもTETSUHARUの創るエンターテインメント世界に息づいている。ダンスが芸に終わらず観るものを興奮させるパワーを持って舞台を盛り上げる。そこが魅力的だった。
ストリート系やショービジネス界の俊英ダンサーの技量と客席を盛り上げる遊戯心は並ではない。今回などややもすれば身内ノリだけで盛り上がる危険も秘めつつ出演者たちの楽しみながら踊り・演じる余裕が舞台に活気をいや増している。エンターテインメントを舐めてはいけない。当たり前の認識とはいえ、その思いを新たにさせられた。