ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団 『私と踊って』

ピナ・バウシュが率いていたヴッパタール舞踊団がピナの死後はじめて来日した。
今回の上演されたのは『私と踊って/Komm tanz mit mir』。リュートの生演奏にのせたドイツの古歌謡が舞台を満たし、「私と踊って!」と女が何度もなんども繰り返す言葉が、ときに暴力的なシーンもはらみながらも痛切な印象を観るものにあたえる。
1977年初演ということで、日本でも近年上演された初期作品群、いまやモダンダンスの古典となった感ある『春の祭典』(1975年)、ブレヒトの戯曲&ヴァイルの音楽による『七つの大罪/怖がらないで』(1976年)を経て、日常的な仕草や歌・会話を取り込んだピナ流のタンツテアターを確立するに至る嚆矢となる作品というのがよくわかった。
ピナの作品は、ダンサーの個性や身体性に大きく依拠していることは確かだろう。今回の舞台は、2008年にリバイバルされ今年に入っても再演をしたうえでの来日となった。初演時とは出演者も社会状況も異なるなかの再演とはいえピナの手の入った舞台ではある。昨年、ピナが亡くなって、今後その作品上演がどのように行われていくのかは気になるところ。舞踊/舞台作品の永続性という点でも考えさせられる公演だった。


ピナ・バウシュ タンツテアターとともに

ピナ・バウシュ タンツテアターとともに


ピナ・バウシュ―怖がらずに踊ってごらん (Art edge)

ピナ・バウシュ―怖がらずに踊ってごらん (Art edge)