「2010年トルコにおける日本年」関連ダンス公演ほか

今年は日本とトルコの友好関係の起点として知られるエルトゥールル号遭難事件から120年を迎えた。それに伴って、「2010年トルコにおける日本年」が開催され、その参加公演中心にさまざまな文化事業やイベントが行われている。
トルコの現代演劇・舞踊界の話題といえばイスタンブール国際演劇祭。先日閉幕した17回目の同演劇祭には、新国立劇場ダンス公演「能楽春の祭典」が参加し、平山素子『春の祭典』&森山開次『弱法師』が上演された。今年は舞踏の室伏鴻『クイック・シルバー』も上演され、室伏や鈴木ユキオが出演し、ワークショップも行ったようだ。
今後もトルコでは今月の17日にアスペンドス、19日にイスタンブールにおいて、世界的に著名であるチャイコフスキー記念東京バレエ団が第24次海外公演ツアーの一環としてベジャール作品を上演するほか、10月には、日本舞踊の菊の会公演「日本のおどり」伝統と創造が催されるなど、「2010年トルコにおける日本年」参加事業は続く。
民族舞踊を別にしたトルコのダンスといえば、アンカライスタンブールといった大都市はじめ各地にオペラ劇場があって、その付属のバレエ団の活動が挙げられよう。佐々木涼子著「世界のバレエを見てまわる」には、佐々木さんが同地でバレエの代表的なパ(ステップ)であるアラベスクの起源を探り、アンカラ国立バレエの上演したプロコフスキー振付『三銃士』を観劇した報告が載っていて興味深い。日本との関わりでは、アンタリア国立バレエ団のバレエミストレスを牧阿佐美バレヱ団出身の樋笠淳子が務めたことがあり、樋笠の実家である四国・高松の樋笠バレエが行う国際交流公演にはトルコからのダンサーが参加してもいる。
いうまでもなくトルコはヨーロッパとアジアの分岐点に当たるしロシアとも近い。そういった地域性を反映しているであろうトルコのダンスのわが国における紹介も期待したい(昨秋、東京・渋谷で行われた「ダンストリエンナーレ トーキョー」では、同地のコンテンポラリー・ダンスの旗手であるタル・ダンスカンパニーが招聘された)。来たる7月上旬には、イスタンブールにて「第2回 イスタンブール国際バレエコンペティション」が開催されるなど国際的なイベントも増えてきている。トルコのダンスシーンをより注目したい。


世界のバレエを見てまわる (エトワールブックス)

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