日本バレエ協会制定 服部智恵子賞に斎藤友佳理!

社団法人日本バレエ協会制定の第27回「服部智恵子賞」の選考会が3月3日に行われ、チャイコフスキー記念東京バレエ団所属の斎藤友佳理が選出された(選考委員:伊地知優子、うらわまこと、桜井多佳子、福田一平、藤井修冶、山野博大)。
http://www.j-b-a.or.jp/hattori-prize_11winner.html
服部智恵子賞は、年間において最も顕著な活躍を見せたダンサーに贈られるもので(重複受賞は無し)、斎藤は東京バレエ団からは初めての受賞となった。受賞対象はいうまでもなく昨年5月に踊ったクランコ振付『オネーギン』タチヤーナ役の演技であろう。斎藤が長年の悲願をかなえた舞台。初役とは思えない完成度にしてタチヤーナの魂が憑依したかのような凄絶な演技に圧倒された。そこに至るまでのエピソードは自伝「ユカリューシャ」文庫版の増補部分に詳しいが、涙なしには読めない。演技だけでなく舞台人・女性としての生き方にも多くの観客が共鳴しているようだ。
日本バレエ協会の初代会長を務め“ママ”の愛称で親しまれた服部智恵子(1908〜1984)はウラジオストクに生まれている。1957年にボリショイ・バレエが初来日したが、その少し前日本とソ連の国交回復を目的として鳩山一郎ソ連を訪れた際、服部は通訳として同道した。斎藤はボリショイ・バレエの元プリンシパル、ニコライ・フョードロフと結ばれ日本とロシアの間を行き来しつつ大学院で舞踊学も修めている。ボリショイの名花として鳴らしたエカテリーナ・マクシーモアとの師弟関係も知られよう。時代は違えども日本とソ連/ロシアとの友好の架け橋となっている点は相通じる。斎藤は、舞踊家としての業績に加え、服部の名を冠した賞を受けるにまこと相応しい。受賞を喜びたい。



斎藤友佳理「ユカリューシャ」 [DVD]

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