現代舞踊協会の東日本大震災をめぐる動きと平成23年度事業予定

“現代舞踊(モダンダンス)の普及向上を図るとともに創作活動を推進し、わが国の芸術文化の進展に寄与することを目的として”(協会HPより)活動している社団法人現代舞踊協会。全国津々浦々に会員を擁し、各地に支部が設けられ、それぞれが合同公演を持ったり、東京で行われる公演やセミナーに参加したりと幅広く活動している。
同協会会報誌「DANCE EXPRESS」No.323(4/21発行)によると、東日本大震災において会員自身の直接の人的被害はなかったが津波による家屋の流出等の被害を受けた会員はいるという。協会では義援金受付の窓口を開設した。被災した会員個々に見舞金を渡すべく作業を進めている。広範なネットワークを活かした支援が期待される。
ちなみに震災発生当日(3/11)、同協会は新宿・全労済ホール/スペースゼロにて主催事業・新人公演「ダンスプラン2011」初日を迎えていた。場当たり・通し稽古を行っている際に地震が起こり、同日と翌日の公演を休止することに。延期・代替公演も検討されたが、そちらも中止になったという。出演者・関係者の心中察するに余りある。
同協会が公式HP上に平成23年度事業予定を発表しているので触れておきたい。
http://www.gendaibuyou.or.jp/news/project11.html
4つの事業に対して文化庁の「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」が採択されているのが目を惹く。同事業は“新進芸術家等が基礎や技術を磨いていくために必要な舞台などの実践の機会や、広い視野、広い見聞、広い分野に関する知識を身につける場を提供するとともにその基盤整備を図り、次代を担い、世界に通用する創造性豊かな新進芸術家の育成等に資するもの”(文化庁HP)を対象としている。
同協会では同助成に採択された4事業を「現代舞踊新進芸術家育成Project」と題している。「全国新進芸術家による現代舞踊フェスティバルin東京」(8月)「時代を創る現代舞踊公演」(9月)「新人舞踊公演」(10月)「文化庁新進芸術家海外研修員による現代舞踊公演」(11月)。昨年まで続いてきた同種の企画公演の延長上にあろうが、「新進芸術家育成」という面をこれまで以上に明確に示しているだけに、若手・中堅がステップアップしながら創作し、広い観客層に訴求できる有意義な場となることが望まれる。
近年、同協会では、事業部が中心となって新進育成の要素が強い公演に力を入れ、観客に対しても「魅せる」舞台を意識する等意欲が見られる。また、一昨年12月の「芸術団体人材育成支援事業」現代舞踊公演では、加賀谷香、菊地尚子、池田美佳という中堅・若手の気鋭を抜擢し、フレッシュな顔ぶれと充実した舞台成果で注目された。ここ数年の活動の成果が実を結びつつある手ごたえが感じられる。
同協会は、芸術の普及向上に関する業務を行うことを主たる目的とする特定公益増進法人に認可されている。その責をより大きく担うべくさらなる活動を望みたい。