文化庁芸術祭大賞に貞松・浜田バレエ団『冬の旅』(振付:森優貴)

文化庁は11日、平成23年度(第66回)文化庁芸術祭賞を発表した。
平成23年度(第66回)文化庁芸術祭賞の決定について
http://www.bunka.go.jp/ima/press_release/pdf/23_geijutsusaishou_ver02.pdf
舞踊部門の大賞は1件、優秀賞3件、新人賞1件。
大賞には貞松・浜田バレエ団特別公演『創作リサイタル23』における「冬の旅」の成果(関西参加公演の部)が選ばれた。関西からは5年ぶりの大賞である。
以下、授賞理由(文化庁HPより)

ツェンダー編曲のシューベルトの「冬の旅」を森優貴が独自の感性で舞踊化。旅をする若者を4人の男性が踊り継ぎ、そこにドッペルゲンガー=若者の影として2人の男性が寄り添い、女性が演じる「光」「瞳」「記憶」などが絡む。音楽に連動した動き、またシンプルな美術もセンス良く、美しい。レベルの高いダンサーの極めて集中力の高い演技が、詩情豊かで哲学的な世界を創り上げていた。バレエ団の総合力を高く評価したい。

森優貴(1978年生まれ)は神戸の貞松・浜田バレエ団出身。ドイツを中心に舞踊家振付家として活躍する。内外で多数の創作を発表し、文化庁芸術祭新人賞受賞(2007年度)、「週刊オン★ステージ新聞」新人ベスト1振付家(2008年度)に選ばれた。「冬の旅」は一昨年10月に初演された大作で昨秋の改訂再演が受賞対象となった。
生と死をめぐる深遠を奥深く描き出した豊かな構想力、音楽性に富んだ緻密な振付、そして、貞松・浜田バレエ団の錬度の高い踊り手たちの演技が圧倒的である。初演の出来栄えも素晴らしかったが、再演によってより磨き上げられ深化/進化を遂げた。わが国では上演がなかなか困難な長尺の創作もの、コンテンポラリー・バレエを、初演後すぐに再演すると決め、実現した貞松融と浜田蓉子の英断に敬意を表したい。
森は今年9月より、ドイツ・レーゲンスブルグ劇場バレエカンパニーの芸術監督に就任することが決まっている。欧州の歌劇場の芸術監督に日本人の振付家が就くのは例がないのではないか。新時代に突入した。彼のさらなる躍進を楽しみにしたい。
森の活動・軌跡については下に記している(昨夏までの活動分)。併読願いたい。
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[CHOREOGRAPHERS FILE]vol.2 森優貴(ヴィースバーデン・バレエ/トス・タンツカンパニー)

http://d.hatena.ne.jp/dance300/20100813/p1

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