アキコ・カンダ ダンスカンパニーの活動継続について

昨年9月23日にモダンダンスのアキコ・カンダが亡くなった。享年75歳。
7歳から舞踊を学び、1956年に渡米し、マーサ・グレアム舞踊団のソリストとして活躍。1961年に帰国後はアキコ・カンダモダンダンスカンパニーを設立した。『バルバラを踊る』『フォー・シーズン』など代表作多数。旭日小綬章紫綬褒章芸術選奨文部大臣賞、文化庁芸術祭大賞や現代舞踊界最高の栄誉たる江口隆哉賞など受賞歴多数。宝塚歌劇団宝塚音楽学校の講師および振付を担当し、また新国立劇場バレエ研修所コンテンポラリー・クラス講師も務めるなど後進の育成にも熱心だった。
アキコは一昨年10月より肺癌を患い、芸能活動と闘病とを両立させていた。昨年9月上旬に青山円形劇場で開催されたリサイタル『花を咲かせるために〜バルバラを踊る〜』では、病躯をおして舞台に立っていた。私は舞踊評論活動をはじめる以前からアキコのストイックで美しく生命力にあふれた舞台に魅了されており、縁あって没後まもなく最後の舞台の模様をさる媒体に求められ寄稿することになった。
大宮の東光寺・東光殿で行われた葬儀にも参列した。多くの会葬者に見送られた。年齢的に考えれば、まだまだ踊れる。踊って欲しかったという思いは消えない。その無念は遺族や関係者にとってより強いものであろう。でも、最後のリサイタル3日間4ステージを踊り切り、はかなくも凄絶に命を燃やし尽くしたアキコに悔いはなかったのではないか。そう信じたい。火葬場へ送られる最後の見送りの際、参列者から期せずして拍手が沸き起こった。しめやかななかにも暗さはない。清々しい、いい会だった。秋晴れの強い日射しのなか行われたこの葬儀を、私は一生忘れることがないだろう。
葬儀の喪主挨拶の際、アキコの長男で作家の邦彦氏が述べたように、アキコ死しても高弟の市川紅美以下が舞踊団を引き継いでいくようだ。公式HPによると「アキコカンダ追悼公演」を来る6月28日(木)29日(金)に青山円形劇場にて予定している。
http://www.akikokanda.com/stage.html
率直に言って、アキコ亡きあと、どのように活動していくのか不安である。アキコの遺志を継ぎオマージュを込めたものになるだろうが、彼女の仕事を受け、さらにその「先」を意識したものであってほしいとも思う。道のりは平坦ではないだろうが期待したい。