「ダンスがみたい!」新人シリーズ10 新人賞&オーディエンス賞 発表!

「ダンスがみたい!」新人シリーズ10が1月6日(金)〜1月22日(日)まで神楽坂のdie pratzeにて行われた(主催:「ダンスがみたい!」実行委員会 共催:die pratze 助成:EU・ジャパンフェスト)。
http://www.geocities.jp/kagurara2000/s10
自称新人ダンサー39組が参加し、13日間にわたって研を競った(30分以内の作品を発表)。年齢やキャリア、ダンスのジャンルを問わないため、よくいえば多種多様、悪く言えば玉石混合のラインナップ。独自の存在感を発揮しているダンスフェスティバルである(映像による一次審査はあって軽くふるいにはかけられている)。
昨年に続いて新人賞審査員を務めた。ご一緒させていただいた審査員は、聡明で実力あり人望も厚い舞踊家の上村なおかさん、舞踏批評の中心的存在の志賀信夫氏、コンテンポラリー・ダンス評論の第一人者で専修大学教授(哲学)の貫成人氏。
23日、新人賞と観客投票によるオーディエンス賞が発表された。後日d-pratze/d-倉庫の公式ホームページに選評がアップされるが、取り急ぎ結果をお知らせしたい。

新人賞
川村美紀子『がんばったんだね、お前の中では』
オーディエンス賞
ビルヂング『雨宿りのビル』

「ダンスがみたい!」新人シリーズ10審査員
上村なおか志賀信夫高橋森彦貫成人(50音順)

川村は日本女子体育大学舞踊専攻の4年生で昨年度「横浜ダンスコレクションEX」新人部門で最優秀新人賞を獲得するなど知られつつある存在。今回の作品は自作ソロ。ビルヂングは加藤紗希を中心としたユニットで、今回は加藤と男性2人(アレックス・福原冠)によるトリオ作品だった。舞台の内容や選考経緯は選評に譲りたいが、個人的評価・嗜好はさておいても、なかなか面白い結果になったように思う。
というのも両者の作品の性格は大きく違う。川村がシリアスで純文学的、ビルヂングがエンタメ的というか、小説の新人賞で言えば、前者が「すばる新人賞」、後者が「小説すばる新人賞」に相応しいというような感じか。両方を併せ呑む「文藝賞」でもOKか。雑な分類ではあるが…。ビルヂングがオーディエンス賞を得たのは勝利であるし、川村を新人賞の方でフォローできたのでバランスのいい選出になったのではないか。
それぞれに個性的で、独特の感性を持ちアピールする力がある。まだ若く粗い面、危うい面もあるが、「新人」に相応しい新鮮さ・力強さがある。タレント性も十分。
受賞者は今夏に行われる「ダンスがみたい!14」で単独公演を打てる権利を得た。肩肘張らずに一晩ものの創作に挑める機会。若い作り手にとって貴重なものがあろう。
川村美紀子とビルヂングの躍進を楽しみにしたい。そして、選には漏れたが他の出場者の方々のさらなるご活躍を心より願いたい。
がんばったんだね、お前の中では(ダンスがみたい!新人シリーズ10)

ビルヂング いままでとこれから