第28回 服部智恵子賞に島添亮子

公益社団法人日本バレエ協会制定による2012年度(第28回)服部智恵子賞に島添亮子(しまぞえ・あきこ/小林紀子バレエ・シアター)が決まった。
http://www.j-b-a.or.jp/hattori-prize_12winner.html
同賞は年間に於いて最も顕著な活躍を見せたダンサーに贈られる(重複受賞不可)。歴代の受賞者にはわが国を代表するプリマ・バレリーナ、ダンスール・ノーブルが名を連ねる。本年の選考会は3月3日に行われ、舞踊評論家の伊地知優子、うらわまこと、桜井多佳子、藤井修冶、三浦雅士、山野博大の各氏が出席した。
妥当な結果といえる。昨年度の活動に対する高評価と実績・受賞歴からみて受賞にもっとも近い位置にいるのは明らかだった。日本の民間のバレエ団としては初めてとなる『マノン』(マクミラン振付)全幕上演において標題役を務め高評を博したことが受賞の原動力になったと思われる。本人の資質や努力は当然必要だが、作品や役柄に恵まれたり、バレエ団の好調期に主役を務めるというタイミングの良さも賞が舞い込むか否かの分かれ目になろう。「運も実力のうち」というけれども、まさにその通りだ。
島添はこれで中川鋭之助賞(2007年度)、橘秋子賞優秀賞(2009年度)に続くビッグ・タイトルの獲得。橘秋子賞と服部智恵子賞というバレエ界の最高権威といっていい両賞を制覇した人は、そう多くない(橘賞の場合、踊り手として評価対象になったもので考える)。この10年余りでそれを成し遂げたのは酒井はな、田中祐子、小嶋直也、逸見智彦、森田健太郎、山本隆之だけである。その前にさかのぼると越智久美子、下村由理恵、吉田都、高部尚子、坂本登喜彦、熊川哲也らの名が挙がる。さらに前には森下洋子、大原永子、川口ゆり子、清水哲太郎ら大御所の名がずらり。すごい面々である。島添には今後日本を代表するバレリーナとしてさらなる活躍が期待される。
以下余談。選考委員の顔ぶれに変化があった。今年度から新たに三浦雅士氏が加わった。昨年9月に亡くなられた福田一平氏に代わって、どなたが入るのか気になっていたが、評論家で新書館編集主幹の三浦さんが加わる。2007年度に桜井多佳子さんが加入されて以来の新選考委員ということになる。