横浜ダンスコレクションEX2013コンペ受賞結果発表!中村蓉、奥野美和が作品部門でそれぞれ2冠!!最優秀新人賞に升水絵里香!!

世界のダンスシーンへの登竜門といえる「横浜ダンスコレクションEX」が本年も開催された。メインイベントのコンペティションの受賞結果が11日発表された。

コンペティションI 作品部門」
審査員賞:中村蓉
奨励賞シマダタダシ
若手振付家のための在日フランス大使館賞奥野美和
MASDANZA賞奥野美和
シビウ国際演劇祭賞中村蓉

コンペティションII 新人部門」
最優秀新人賞升水絵里香
奨励賞白井愛咲
奨励賞松田鼓童

作品部門は3日間12組、新人部門(25歳以下)は3日間15組が妍を競った。
作品部門の2日目のみ観られなかったが熱戦だった。海外のダンスフェスティバルや演劇祭のディレクター等も多数来場。授賞式では12か国14人のディレクターが紹介された。同時期開催のTPAMに参加している海外の舞台芸術関係者の姿も見受けられた。ショーケースのライブパフォーマンスを含め海外からの参加者も少なくない。国際色豊かなコンペティション/フェスティバルという色彩が年を追うごとに強まっている。
作品部門の受賞結果について。
審査員の室伏鴻の講評によると安全策をとった表現より「ワイルド」「野性味」のあるパフォーマンスを評価したとのこと。たしかにシーン全体を見渡しても小器用に上手くまとめる新鋭は少なくない。挑戦する表現者を支持したいという心意気を感じた。
「審査員賞」「シビウ国際演劇祭賞」を受けた中村蓉は早稲田大学モダンダンスクラブにてダンスを始め、のちに近藤良平や小野寺修二の作品に参加しアシスタントも務めている。昨年から本格的に自身の創作を開始。「ダンスがみたい!新人シリーズ10」では、一昨年の新人部門最優秀新人賞受賞者で、その後活躍の場を広げ各賞総なめの川村美紀子の前に及ばなかったものの好評を博した。「ネクストリーム21ダンスコンペティション」にて審査員特別賞受賞。昨秋の「ダンストリエンナーレトーキョー2012」の「JAPAN FOCUS」では近藤良平とのデュオ作品に抜擢され注目を浴びた。チャーミングで華があり不思議な感性が反映されつつコンセプトのしっかりした佳作を生んでいる。横浜ダンコレに関しては昨年新人振付家部門にノミネートされたものの賞を逸したが今回作品部門で2冠を手にする快挙を果たした。来年以降のダンコレでの受賞者公演が約束されるほか2014年の「シビウ国際演劇祭」に招聘され作品上演するとともに学生向けのワークショップを行なう。楽しみな逸材だ。
「若手振付家のための在日フランス大使館賞」「MASDANZA賞」を受けた奥野美和は北村明子率いる「レニ・バッソ」のメンバーとして注目されたが、近年は自作を発表している。「ダンスがみたい!新人シリーズ9」では山海塾の舞踏手である石井則仁とともにデュオを踊り好評を博した。精度の高い動きを針の振り切れた思い切りの良さで踊るカッコよさがある。「若手振付家のための在日フランス大使館賞」は半年間(以内)フランスのアンジェの国立振付センターを中心にフランス国内でダンスを学ぶことができるというもの。「MASDANZA賞」を受けるとスペイン・カナリア諸島で開催されている国際ダンス・フェスティバル「MASDANZA」に招待される。ダンサーとしての資質を高く評価されたものと思われる。
シマダタダシが受けた「奨励賞」は審査員賞の評価において第2位に3人が入ったためそのなかから選出したとの由。室伏鴻によると「実験的」であった点でシマダが選ばれた。シマダは19歳の時から演技のメソードを奈良橋陽子主宰で学び、主に即興ソロを中心に活動しているという。振付家・鈴木知久に師事。不定形かつ非常に密度の濃い独自の動きが印象的だった。
新人部門の最優秀新人賞を受けた升水絵里香は桜美林大学総合文化学群卒業。在学中に木佐貫邦子、伊藤千枝の振付作品に出演。米田沙織とのダンスデュオ<ヨネエリ>を主催し昨年の「トヨタコレオグラフィーアワード2012」オーディエンス賞受賞者・北尾亘のなどに出演している。完成度の高いデュオには見応えがあった。近年、北尾や今回の作品部門ファイナリスト木村愛子はじめ多くの気鋭振付家/ダンサーを輩出している桜美林であるが、また新たな新鋭が誕生した。
奨励賞は二人。白井愛咲は立教大学映像身体学科を1期生として卒業。自身の振付作品を発表するほか映像作家との共同制作なども行っているという。ソロ作品において知的なアイデアと構成力、バレエを軸に独自のボキャブラリーをみせて才気煥発だった。松田鼓童は18歳でジャズ・ダンスをはじめ以後他分野のダンスを学んでいるという。男性トリオの作品であったが豊富なアイデアと巧みな構成力で押し切った。
受賞者のならびにファイナリストの今後ますますの活躍を願うばかりだ。