騎馬スペクタクル ジンガロ『バトゥータ』

騎馬スペクタクル ジンガロ『バトゥータ』
作・演出:バルタバス
演奏:ファンファーレ・シュカール/タラフ・ドゥ・トランシルバニア
(2009年1月27日 木場公園ジンガロ特設シアター[東京都現代美術館となり])

鬼才・バルタバス率いる騎馬劇団が2005年(『ルンタ』)以来4年ぶりに来日。
前回の来日まで太陽劇団(新国立が呼んだ)と並んで招聘不可能といわれ日本では観られない幻の劇団だったが、近年は映像も結構出ていて、日本と韓国をモチーフにした『エクリプス』含む旧作のDVD-BOXまで出ているようだ。
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冨士山アネットpresents『不憫』

芸術文化振興基金助成事業
冨士山アネットpresents『不憫』
作・演出・振付:長谷川寧
振付・出演: 山本伸一(BQMAP)/石川正義/大石丈太郎/石本華江(妄人文明/Co.山田うん)/石山優太(APE)/上ノ空はなび(toRmansion)/大西玲子/草光純太 /玉置玲央(柿喰う客)/深井順子(FUKAIPRODUCE羽衣)/長谷川寧
(2008年12月29日 下北沢ザ・スズナリ)

作・演出・振付の長谷川寧と衣裳パフォーマー山下和美によるユニット。病院という施設をモチーフにした演劇ともダンスともつかぬパフォーマンスである。整形外科にやってくる患者たちや医師、看護婦たちの織りなす不可思議、不条理な生態を描いている。冒頭、ギブスをした患者同士が落とした財布の中身を拾い合おうとするシーンからそうであるように、不具の身体を通して身体というもののヒエラルキーが浮かび上がる仕掛けだ。ただ、もう少し肩肘張らずに、しかし、ここぞというところではよりデフォルメした動きがあるとより狙いが明快になるしエンターテインメントとしても楽しめる気はした。

小野寺修二 カンパニーデラシネラ『ある女の家』

小野寺修二 カンパニーデラシネラ『ある女の家』
作・演出:小野寺修二
出演:浅野和之/河内大和/藤田桃子/小野寺修二
(2008年12月19日 シアタートラム)

勅使川原三郎 身体実験劇場『ない男』

勅使川原三郎 身体実験劇場『ない男』
原作:ロベルト・ムジール「特性のない男」(加藤二郎・訳)
テキスト:宇野邦一
演出・振付・美術・照明・選曲・衣裳:勅使川原三郎
出演:勅使川原三郎/佐東利穂子/川村美恵/ジイフ/井手悠哉/林誠太郎/ナナ&ナイル
(2008年12月11日 シアターχ)

オーストリアの作家ロベルト・ムージルの未完の大作「特性のない男」を題材に、勅使川原三郎が演劇的アプローチを試みる身体実験劇場”が惹句だった。散文作品の断片的な言葉と身体とのせめぎ合いを試みている。KARASのメンバーも出演するものの多くは勅使川原と佐東のパートで占められる。脈絡なく思える散文の朗読のなかうごめくふたりの身体。哲学的、観念的な世界に陥ることなく詩的な美しさをたたえていたのが印象的だ。シンプルな舞台空間を用いながらも、試験管のようなオブジェを吊るし、暗闇のなかオブジェが発光する場など魔的なまでの美を現出。美術・照明等含めトータルに世界観を構築していくという勅使川原の志向がここでも顕著だった。