「横浜ダンスコレクションR」はじまる

横浜ダンスコレクションRが今年も始まった(2月11日まで開催)。「横浜ダンスコレクション」として1996年にスタートし、2005年から現在の形にリニューアル。横浜赤レンガ倉庫1号館をメインに開催されている。昨日(2月7日)は昨年までの各賞を受賞した振付家4名が集っての受賞者公演が行われた。キム・ミョンシン、杏奈、ドナ・ミランダ、三浦宏之の作品を上演。昨年よりも総じて水準は上がっているようには思われた。
思い出はいろいろある。2002年になるだろうか。黒田育世が『SIDE B』で衝撃的なデビューを飾り、矢内原美邦が旧作の『駐車禁止』を上演(ニブロールは同日の昼には新作の『コーヒー』を新宿で公演していた!)、ともに「ナショナル協議員賞」を得たことはとくに鮮烈な印象を残している。最終日の終演後、ランドマークホールのホワイエで授賞結果が発表されときのこと。まず最初に黒田の名前が読み上げられ、ややどよめきが起きた(と思う)。そして、しばらく間をおいてから矢内原の名も発表され会場はちょっとした騒動となった。が、そのとき、会場の片隅でがっくりと肩を落としていたある青年が、後日なんとフランスのバニョレ・プラットフォームに出場するという逆転が起こり、話題となった。勅使川原三郎っぽい振りに+ブレイクダンス風の動きを織り交ぜた作品を発表した梅田宏明だ。先方のディレクターの意向だったのだろうか。
2005年から、「ダンスの基礎」を持った人材を内外から広く募集、リニューアルしたが当初はやや苦戦の印象だった。しかし、このところアジア各国からの出場者やモダン畑の若手やバレエのキミホ・ハルバートも出場するなど、多様な感性が新しく、手ごたえのあるダンスをみせてくれている。2005年という年はコンテンポラリー・ダンスにとって曲がり角となる年だったのは確実だろう。時代の寵児たる伊藤キムや異才・井手茂太ら90年代世代が代表作を発表しつつ、白井剛や岡本真理子、東野祥子、黒田、矢内原らが刺激的な創作をみせてはいたが、その後に続く大器が現れなくなった頃だ。マーケットの成熟といえば聞こえはいいが、要は停滞であり、袋小路に入った感はあった。その点、その2005年に方向転換した横浜ダンスコレクションRは、多方面からの才能を迎え入れることで新たな土壌から新鮮なダンス作品が生まれる場所として期待ができる。また、横浜を起点に新たなダンスマーケットの確立が望まれるところだ。


※横浜ダンスコレクションR 公式ホームページ
http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/

※横浜ダンスコレクションR ダンコレブログ
http://ameblo.jp/ydcr/