バレエ シャンブルウエスト「クリスマスコンサート」

平成20年度文化庁芸術創造活動重点支援事業
第58回定期公演「創立20周年記念特別企画」
バレエ シャンブルウエスト「クリスマスコンサート」
program.1 創作
「冬のファンタジー
『今は明日』
振付:川口ゆり子
『grido―叫び―』
振付:吉本真由美
『impressive tango』
振付:岡田幸治
『souvenir―思い出―』
振付:今村博明/川口ゆり子
program.2 古典
『ライモンダ』第3幕
ライモンダ:川口ゆり子
ジャン・ド・ブリエンヌ:今村博明
『グランドフィナーレ』
出演:シャンブルウエストとバレエメイツ
(2008年12月18日 八王子市芸術文化会館いちょうホール)

古典作品の上演とともに『タチヤーナ』『ブランカ』といった優れた創作バレエを手がけてきたカンパニーらしく創作と古典のバランスの取れたプログラムを披露してくれた。「冬のファンタジー」は4人の振付家によるアンソロジー。今村博明、川口ゆり子の創作に加え、高弟の吉本真由美、客演が多く脇を締める重要な存在、岡田幸治の創作も発表した。川口作品はバレエベースにコンテンポラリーな味わいも。吉本作品は「叫び」を主題によく錬られたフォーメーション等工夫あるもの。岡田作品はピアソラのタンゴにあわせ男女のすれ違いを描いた。今村&川口による作品は正木亮を主人公にある男の回想を映し出す。創作バレエの可能性を追求するカンパニーとしてシャンブルウエストの試みは貴重といえる。『ライモンダ』第3幕はプティパ最後の傑作であり、有無を言わさぬダンスの説得力で魅せるものだ。タイトルロールを踊った川口は全幕日本初演時(ウエストモーランド版)に主演、思い入れもひとしおだろう。川口は一つひとつのパを丁寧に紡ぎつつ緻密に演技を組み立てていく。今村もアダージョでみせた情感の豊かさは比類なく川口と心と心で沿いあっているようなえもいわれぬ一体感を醸しだしている。他ではヴァリエーションを踊った松村理沙が抜群。上半身、首から肩、腕にかけての動きに微細なニュアンスを加え、音楽のひだをよく捉えた踊りをみせた。男性では土方一生、染谷野委らがきっちり踊りつつ意志のある演技をみせ飛躍を期待させた。