新国立劇場バレエ団『シンデレラ』

新国立劇場バレエ団『シンデレラ』
振付:フレデリック・アシュトン
シンデレラ:寺島まゆみ
王子:貝川鐵夫
指揮:デヴィッド・ガルフォース
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
(2008年12月26日 新国立劇場オペラ劇場)

アシュトンっぽくと几帳面に踊るのは新国立の美点だろう。東京バレエ団がおなじくアシュトンの『真夏の夜の夢』を初演した際、全然アシュトンっぽくなくて驚いたこともあった(再演ではアシュトン作品らしくなっていた)。しかし、アシュトンっぽさにこだわりすぎると窮屈に感じてしまうことも。もっとさらりと粋に踊りこなしてほしい。主役コンビはミスもあったがアダージョの情感はなかなか雰囲気が良くて手堅くまとめていた。出色が春の精を踊った伊藤友季子。抜群の音楽性と細部にまで神経の行き届いた表現をみせてくれた。指揮、演奏との相性がよかったからだろう。新国立劇場バレエ研修所時代やかって小島章司のリサイタルに出た際の演技に匹敵する輝きを放っていた。