初期型『Dumb!』

助成:全国税理士共栄会文化財
初期型『Dumb!』
振付:カワムラアツノリ
出演:垣内友香里、草野たかこ、工藤牧、兼盛雅幸、重森一、須加めぐみ、根岸由季、平澤瑤、深見章代、松崎淳、カワムラアツノリ
(2009年2月14日 アサヒ・アートスクエア)

カワムラアツノリが主宰する初期型の自主公演。dumbとは、口の利けない、あるいは馬鹿な、マヌケなといった意味を持つが、「黙ってないでとにかく身体で動け、スパークしろ!」というあたりがカワムラの意図するところであろう。内外のロックの名曲にあわせ異色メンバーがアクティヴなパフォーマンスを繰り広げた。ずしりとした手ごたえのある存在感が魅力の垣内、ブサ可愛いキャラを演じて(←ココ重要)絶品の須加、ノリにノッて若々しく踊る深見、女装姿の踊りがキモくて(←褒め言葉)なんだかグルーヴィーな兼盛らが織りなす少々痛くても誰しも覚えのあるような青春群像。腋という身体部位に注目して身体における階層的落差を批評的に捉えた快作『ワキのニオイをワキガという』、男性陣が全裸になり、女性陣が男性たちの局部を手で隠しながら皆で跳ねたりふざけた動きを繰り出すラストが鮮烈な『MELEE』に比べるとインパクトに欠けるけれども、メンバーの個性を活かし見せ場を上手く配するという点では回を重ね充実してきた。このグループの特徴は、演者がなによりもエンジョイして踊っており、そして、それが観客にも伝わってくること。多様化したといわれつつ一部の売れ線のみが取り上げられることも多い日本のコンテンポラリー・ダンスであるが、唯我独尊、独自の道を歩み、観客をも楽しませようとする初期型の活動には貴重なものがあるように思う。