江原朋子独舞展2009『百年はもう来ていたんだな』

主催:トモコエハラダンスカンパニー・シアターΧ提携公演
江原朋子独舞展2009『百年はもう来ていたんだな』
構成・演出・振付・出演:江原朋子
スペシャルゲスト:野々村明子
(2009年2月21日 シアターΧ)

日本におけるポストモダンの旗手・厚木凡人に師事したのち、ニューヨークやドイツでも自作自演を発表してきた江原朋子。ポストモダンの洗礼を受けつつ黒沢美香らアンダーグラウンドで活躍する面々とも交流、独自の舞踊世界を形成してきた。コアな観客が付いており、会場にはコンテンポラリー・ダンス関係者の姿も散見される。舞踊評論家の故・市川雅も江原のダンスを愛したひとりである。新作の公演タイトルは漱石夢十夜」第一夜の主人公の言葉から取られているが内容は江原のオリジナル。“人間、生き物が抱える、秘められた願望や不安、恐怖など”をダンスで追求したという。音楽はバロック期のスラルラツティ、古典派のモーツァルトピンク・フロイド、クイーンというロック音楽、さらには千野秀一の曲を織り交ぜている。江原の、肩の力の抜けた飄々としたダンスに、名古屋現代舞踊界の重鎮で存在感十分の野々村が絡む展開。江原は老いも何もかもありのままの自分を曝け出す。少女のように無垢な表情をみせる瞬間も。変幻自在の江原ワールドにハマると追って観続けたくなる。他に見逃せない公演もあったのだけれども迷うことなく足を運んだ。その甲斐ある充実のダンスを堪能した。