第20回「清里フィールドバレエ」の詳細発表

         
例年夏になると海外の大バレエ団の来日やスターの集うガラ公演が行われ日本のバレエファンにとって“熱い季節”となります。しかし、夏というと忘れてはならないのが「清里フィールドバレエ」でしょう。山梨県北杜市高根町清里にあるリゾート地「萌木の村」で行われる野外バレエ公演です。今年で20回目を迎えました。
主催は萌木の村とバレエシャンブルウエスト(主宰:今村博明・川口ゆり子)、出演はバレエシャンブルウエストと舩木洋子バレエフォレスト。八ヶ岳の南麓、標高1,200メートルの高原で星空の下行われる野外での幻想的なステージは一度体感するとやみつきになります。長年続いているのはロケーションの魅力もさることながら、質の高いパフォーマンス、手抜かりのない照明や舞台美術等のスタッフワークによるところが大といえます。地元のみならず全国各地からの多くの観光客に親しまれ、今では清里の風物詩としてすっかり定着、全国紙でも度々報じられています。「萌木の村」の創設者・代表であり、フィールドバレエの運営の責任者である舩木上次さん(地域文化への貢献が評価され前田晁文化賞を受賞)はじめ関係者の長年にわたる献身によるものでしょう。
例年7月下旬から8月上旬の2週間のあいだに3〜4プログラムを日替わりで上演します。本年度の詳細が発表され間もなくチケット発売となりますが、予定されているのは3プログラム。Aプロ『くるみ割り人形』はバレエシャンブルウエストが20年前の創立公演以後上演を重ね完成度を高めてきたレパートリーです。Bプロ『白鳥の湖』も古典中の古典、アンサンブルのまとまりのよさに定評のあるシャンブルウエストならではの舞台が楽しめそう。Cプロ『タチヤーナ』はロシアの文豪プーシキンの韻文小説「エヴゲーニー・オネーギン」に基づいて1820年代のロシアに生きた人々やその日常の情景を描いたもの。全編チャイコフスキーの楽曲より選曲されており、創作バレエを数多く手がけるシャンブルウエストの代表作です。文化庁芸術祭大賞(2002年)にも輝いた名作ですが、野外版は昨年初めて初演されました。3幕構成を2幕に練り直し、スピーディーで畳み掛けるような展開は劇場版を上回ります。20回目の記念すべき公演ということで自信作の全幕ものを揃えてきた感があり、いずれも見応えのある舞台が期待できそう。
フィールドバレエの魅力は、ただバレエを鑑賞するだけではありません。自然に親しみ、地元の人々とふれあうことにあります。開演前や休憩時に焼きソーセージや地ビールを飲み食いし地元の方と会話を交わす。そんなまったりと過ごす時間は至福のひととき。豊かな自然のなかで人間性を恢復できる、得難い場といえるでしょう。


バレエシャンブルウエス
http://www.chambreouest.com/
清里フィールドバレエ
http://www.moeginomura.co.jp/FB/
萌木の村
http://www.moeginomura.co.jp/
(写真は昨年度「タチヤーナ」公演のリハーサル[昼間]の模様)