日生劇場 国際ファミリーフェスティバル/スターダンサーズ・バレエ団『シンデレラ』

東京・日比谷にある日生劇場が毎夏行っている主催事業公演が「国際ファミリーフェスティバル」です。内外の団体による、家族連れの楽しめる舞台芸術を上演してきました。バレエもこのところ毎年上演され、在京バレエ団中心に持ち回りで担当しているようです。今年はスターダンサーズ・バレエ団が『シンデレラ』(全2幕)を上演しました。
スタダンの『シンデレラ』は2008年3月に新制作された鈴木稔版。プロコフィエフ曲を用いオーソドックスな展開は守りつつ、現代的な意匠や緻密な伏線を織り交ぜファンタスティックなドラマとしてセンスよくまとめています。シンデレラの父は忙しいビジネスマンという設定であったり、シンデレラの小さな友達としてピーターラビットばりの着ぐるみを着たりもするキャラクターも配する点などに創意が。二村周作による幻想性と重厚さを兼ね備えた舞台美術も効果的です。再々演となり、手の内に入った間然とするところない仕上がり。多くの子どもで満員の客席は笑いあり拍手ありと上々の反応でした。
公演の冒頭にスタダンの総監督:小山久美が幕前に出て前説を行いました。ストーリーの紹介に始まり、女性ダンサーと小山によるマイムの基本を実演。さらにはバレエに頻出するワルツ(三拍子)の解説を行い、二拍子との違いを観客とともに手を打ち合わせて確認したうえで、実際にダンサーがさまざまなステップを踏みつつ踊るといった試みも。話術巧みであり、簡にして要を得た紹介。子どもたちにとって有益だったのでは。
子どもや連れ添いの家族にバレエに気軽に親しんでもらえる場として国際ファミリーフェスティバルは得難いものがあります。来年は松山バレエ団が『眠れる森の美女』を上演するとのこと。今後も各団体による質の高い舞台を期待したいところです。
(2009年8月21日 日生劇場)