ライブ・エンターテインメント市場が好調

ぴあ株式会社の子会社のシンクタンク、ぴあ総合研究所株式会社は、2008年のライブ・エンタテイメント市場動向についての一覧「ぴあ ライブ・エンタテインメント白書 2009」を9月18日に発売するとリリースしました。
経済不況の中で、ライブ・エンタテインメント市場規模は健闘 2008年ライブ・エンタテインメント市場概況
http://www.pia.co.jp/pia/release/2009/release_090909.html


ぴあ ライブ・エンタテインメント白書 2009

ぴあ ライブ・エンタテインメント白書 2009

5つのライブ・エンターテインメント――音楽、ステージ、映画、遊園地/テーマパーク、スポーツのうち、映画のぞく4ジャンルで前年を上回る好調な推移を示したとの報告。動員数は対前年比1.0%減にもかかわらず、1人当たり単価が上昇しているようです。さすが不況に強いといわれてきたライブ・エンタテイメント。しかし、スポンサーによる協賛金などの減少がみられ、また高額チケットは売れ難くなるなどの影響は若干出ているようです。人気公演とそうでない公演の二極化も激しいと記事では触れています。
特に気になるのは、音楽業界でライブが伸張していること。CDシングルが極端に売れなくなったと近年度々報じられているのと反比例して大幅な伸びを見せています。1990年代半ばには、ミリオンセラーが続出するという、今にして思うと異常な時期もありましたが、アーティストも欧米のようにアルバム重視の戦略に出ているようですし、観客と近い距離で交流できるコンサート/ライブに活路を見出しているよう。消費者も高いチケット代でも、観たいものにはお金を出す傾向に。これはステージでも同様でしょう。
また、映画では、累計では前年割れとなりましたが、邦画の市場規模は大幅に伸びていることも注目されます。洋画とくにアメリカ・ハリウッドの大作が日本ではあまり当らなくなり、邦画の話題作が相次いでヒット。2003年頃からそれは顕著になり、同年春公開された『黄泉がえり』あたりから若い観客が抵抗なく邦画に接しているのを個人的にも実感してきました。海外作品に依存しない、自国のコンテンツがマーケットに確固たるポジションを占めているのは好ましい。とはいえ邦画ブームにのって製作本数は増えましたが、ここでも当っているものはごく一部という二極化は否めないようです。
ダンスや演劇に関しても潜在的な観客層は少なくないはず。厳しいご時勢ですが、だからこそライブの感動に浸り、人間性を恢復したいもの。文化は空気や水のように自然に身近にあって然るべき。バレエ・マーケットでは、圧倒的に海外のブランド・カンパニー/アーティストに人気が集中するとはいえ東京バレエ団やKバレエカンパニーのように少なくない観客を動員し、しかも一般の有料入場者がほとんどを占める団体もなくはありません。コンテンポラリーの市場規模は小さいですが金森穣のNoismのような団体が健闘。舞台の質が大切ですが売り方次第で伸張の余地はあるのでは。そのうえで、観客が自国のコンテンツを育てていく流れが上手く作られればいいなと思います。