公演の見せ方について

来年6月、9月に英国ロイヤル・オペラ&バレエが来日します。それに先立って、このたび来日した英国ロイヤル・オペラ・ハウス総支配人トニー・ホール氏を囲んで都内で行われた記者懇親会の模様が招聘元のウェブサイトに載っています。
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/cat114/post-168.html
バレエ・ファン的には、ロイヤル・バレエ公演の公演日が出たことが見逃せませんが、ホール氏のコメントのなかに興味深いものがありました。それは、ロイヤル・オペラハウスの現状を語った話のなかに出てきます。同オペラハウスがこの10年のあいだにバレエやオペラを観たことのない層や年齢層の観客に劇場に足を運んでもらえるように行ってきたアプローチについて。大衆紙の読者に向けて通常より割安な料金を設定したり、オペラを屋外会場や国内外の劇場でライブビューイングとして上演するなど新機軸を打ち出しているとのこと。そして実際に少なからぬ成果を上げているようです。
わが国の舞踊団やオペラ団体、クラシック音楽関係の団体は舞踊界や音楽界以外へのアピールに乏しいのが現状。既存メディアや新興のweb媒体等への情宣に加えblog公開や動画発信等によって情報発信している団体も増えてきており改善の兆しは見えるとはいえ、抜本的な改革を目指すなら、生の舞台に触れてもらえる機会を増やすしかありません。各種助成金や寄付金等も少なくありませんが(今後の財政改革によってどうなるのかわかりませんが・・・)、それらを舞台の質の向上のために使うとともに観客層の拡大のため入場券料金を下げる等の営業努力に活用することが必要でしょう。無論、エコノミー券や学生券を充実させ若手公演を廉価で提供する東京バレエ団NBSのように既に実行に移している団体も出てきていますが。
さらに、普及活動も大切です。大手の団体や各地の有力団体のなかには学校公演や地域住民へのアウトリーチ活動を積極的に行っている所も少なくなくありません。そういった地道な活動は今後も続けてほしいところ。普及活動をより充実させつつ公演の見せ方・売り方を改め、より社会へとアピールする活動が舞踊界に強く望まれます。